2011年04月22日

アカショウビン

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 この家の最初の客はアカショウビン朝の大気をふるわせて鳴く

 昨日(4月21日)今年初めてアカショウビンが鳴くのを聞いた。とても嬉しくて、気持ちがぱっと明るくなった。
 アカショウビンはカワセミの一種で、赤くて長いくちばしが愛らしい。「ヒョロロロ〜」という、半音階ずつ下がるような不思議な鳴き方をする。「コッカロー」とか「ホッカロー」というふうな表現もされている。春から初夏に南からやってくる渡り鳥で、夏が終わると去ってしまう。
 この鳥を初めて見たのが、昨年5月1日の朝だった。前日の午後ようやく石垣島にたどり着き、段ボール箱の積み上げられた家で最初の夜を過ごした翌朝である。家の前の電線に、アカショウビンがとまって鳴いているのを見つけ、うっとりと聴き入った。「ここに住んでいると、毎日アカショウビンに会えるんだ!」と感激したが、それは大間違い。その後、鳴き声はしょっちゅう聞くのに姿は全く見ないまま、季節が変わってアカショウビンは去ってしまったのだった。
 そういうわけで、昨日からアカショウビンの声を聞いては感慨を深くしている。先日ブログのコメントに「石垣島は常夏かと思っていたけれど、移住してからのブログの方が季節感たっぷり」と書いてくれた人がいた。季節ごとの出会いが多く、動植物も食べものもすべて季節の移り変わりを示していることを改めて思う。
 写真は、田中一村の「ダチュラとアカショウビン」の一部。田中一村の移り住んだのは奄美だが、作品集を見返すと、クワズイモやアダン、テッポウユリ、オオタニワタリ、ガジュマルなど、石垣島でおなじみの植物ばかり描かれている。アカショウビンもいくつか描かれており、一村もこの鳥の鳴き声に慰められたことが多かったのかなぁと思う。

 ☆「かりん」2010年7月号
posted by まつむらゆりこ at 08:32| Comment(11) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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