ブログを休んで1年たった。
仕事が捗ったか……と言えば、そうでもない。相変わらず原稿書きに追われている。
でも、先日友人から「みんなが楽しみにしているのだから、早く再開しなさい!」と叱られてしまった。
ずっと休んでいたのは、忙しさ以外にも理由があった。
誰に向けて発信しているのか、よく分からなくなったこと。
自己満足に過ぎないのではないか、という迷いがあったこと。
一定以上のレベルの文章を書かなければ!と気負っていたこと。
−−まあ、そんなところである。
あまり気負わず、緩い感じで、自分のよいと思う歌を少しずつ紹介してゆこうと思う。
更新する曜日もスタイルも決めず、気が向いたときに書くことにする。
みなさま、1年間ごめんなさい。
これからまた、どうぞよろしくお願いします。
今日の一首は、とても好きな歌集の中から。
かなしみか 皿洗ふとき消えかけてまたふくらみて雨が脈打つ
朝井さとる
読んだ途端に、涙がじわーっと湧いてきた。
「かなしみ」は、心の奥にしまわれている。誰もが用心深く、その存在について考えまいと日常をやり過ごしているのだ。しかし、時折それはふっと浮かび上がり、自分を揺さぶる。
「かなしみ」は、誰とも分かち合うことができないのだと思う。そのこと自体がまた悲しくて、やるせない。
*朝井さとる歌集『羽音』(砂子屋書房、2012年5月刊行)