
ここ数年かけて書いてきた原稿が、やっと本の形になった。
長い間ブログを書くことをやめていたのは、心の余裕がなかったからだ。本当に有能で忙しい人は決して「忙しい」と言わないものだというけれど、確かにそういう面はある。この半年余りの私の頭の中は飛行機といろいろな人物でいっぱいで、その状態を「忙しい」と称して、サボったり断ったりする言いわけにしていた。
ともあれ、拙著『お嬢さん、空を飛ぶ』(NTT出版)が刊行されて、ほっとしている。ウェブマガジンの連載時には「女もすなる飛行機」というタイトルで、自分としてはややお茶目で悪くないと思っていたのだが、数人からNGが出たので一所懸命考えた(思い返せば、新聞記者時代も連載企画のタイトルを決めるのが苦手だった!)。
「大空を目指して」だとか「ひこうき雲の描いた夢」だとか、「なんだかなぁ〜」的なものしか思いつかなかったのだが、あるとき天啓のようにひらめいたのが「お嬢さん〜」であった。モンゴメリの『パットお嬢さん』や犬養道子の『お嬢さん放浪記』など、ちょっぴり古めかしく懐かしい響きがあるのがいいと思った。何より、この本に登場するキャサリン・スティンソンという女性パイロットが、大正時代に来日した折に「スチンソン嬢」「ス嬢」と親しまれていたのである。
私にとって大切な『お嬢さん〜』が、たくさんの人に愛されますように。
拙著についての概要はこちら。
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002283