
「ワジワジする」というのは、沖縄の言葉で「いらいらする、腹が立つ」といった意味である。「にぃにぃ(お兄さん)」「ねぇねぇ(お姉さん)」などの言葉は、子どもたちもよく使う。
こんな畳語は、ハワイにも多いようだ。「ウリウリ=濃い青、ひょうたんの楽器」「オラオラ=長寿」「ホイホイ=楽しい」など。大型で釣り人に人気のある魚、シイラは、ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれる。
マヒマヒという魚の棲む魚 南では名づけることが虹を生むのだ
井辻 朱美
聞きなれない言葉の響きは、私たちを日常から離れた世界へ連れていってくれる。この作者は「マヒマヒ」に、南島の「虹」を感じた。魚を見つけた人たちの気持ちがはずむ感じが、言葉に込められているからだろうか。結句のきっぱりとした断定が心地よい。
ハワイ語の虹は「アーヌエヌエ」。日々の小さな出来事に「虹」を見つける心を大切にしたい。
☆井辻朱美歌集『クラウド』(北冬舎、2014年7月刊行)