2008年11月14日

紅葉

KICX2287.JPG

 葉隠れに薄紅葉なす一葉より全山炎上してゆくか秋
                     小関 祐子


 紅葉の季節となった。色づいた山々は本当に美しく、見飽きない。
 この歌は、古典的なしらべの力強さが、実に魅力的だ。一枚の葉がうっすらと、ひそかに紅くなる。そこから、山全体が燃え立つような紅葉に染められる秋という季節を思った歌である。草木が芽吹く春や緑の濃くなる夏に比べて、秋には穏やかな印象があるが、この作者は秋の勢いとでもいうような激しいものを感じている。冬に向かう自然の厳しさをよくよく知っているのだろう。「全山炎上」という強い言葉に、「燃えろ、燃えろ」とけしかけるような、自然と一体になった思いが感じられる。
 紅葉してゆく山の様子に恋を重ねてもよいかもしれないが、私はこの歌に、山の生命力と自らを重ねた作者を思った。ととのった韻律ながら、野趣あふれる雄渾な一首である。

☆小関祐子歌集『Sein(ザイン)』(ながらみ書房、2008年3月)



posted by まつむらゆりこ at 11:03| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わあ!綺麗な写真!!

ゆりこさんが撮ったのですか?歌やエッセイだけでなく、いつも写真上手なんですよね!
Posted by もなママ at 2008年11月14日 17:31
もなママさん、
ありがとうございます!
そうです、実はこれ、米マサチューセッツ州コンコードで撮ってきたものです。
あまりに見事だったので。きれいでしょ?
Posted by まつむらゆりこ at 2008年11月14日 18:22
アメリカのもみじですか。寒そうなところだから木も強くてきれいなのでしょう。seinの批評会を聞きに行きます(批評会だけで帰りますが)。こういうテーマ性の強い歌集はどう読んだらいいのか勉強したいと思います。
Posted by morijiri at 2008年11月14日 23:22
morijiriさん、
「Sein」は本当にテーマ性が強い歌集ですね。私も頑張って準備しなければ!
Posted by まつむらゆりこ at 2008年11月15日 17:55
『Sein(ザイン)』で学生時代に戻りました。
Sollen(ゾルレン)・・・・・などなど、言葉の意味もわからず言葉を
振り回していた時代を思い出しました。(赤面)
当時、「独語」というブランドをまとうことがファッション
だったかも知れません。

今は、「言葉」を大事にしてます。
(と、思う。 当ブログのおかげです)

本文と写真で感じたことをブログテンプレートにしてみました。
よろしければご高覧を!
Posted by ひろし at 2008年11月15日 21:44
ひろしさん、
私も言葉を大事にしているかしら、といつも心配になります。
そちらの素敵なブログを拝見しました。
今の季節にぴったりのデザインですね!
Posted by まつむらゆりこ at 2008年11月15日 22:30
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