可愛き名のデイジーカッターずたずたに大地を壊すために
投下さる 栗木 京子
ひなぎくは、明治の初期に日本に入ってきた植物である。子どものころ、アンデルセンの童話や、エリナー・ファージョンの『ひなぎく野のマーティン・ピピン』などを読み、中心に小さな太陽をいただいたような愛らしい花がとても好きになった。
それなのに、ここ数年はひなぎくを見るたびに、「デイジーカッター」と通称される爆弾を思い出して憂うつな気持ちになってしまう。地表の構造物をすべてなぎ払うように吹き飛ばす爆弾のことをこんなふうに名づけるなんて、本当に残酷なことだ。
小児科医、細谷亮太さんの著書『生きるために、一句』(講談社)を読んでいたら、「秋晴れて塔にはさはるものもなし」という子規の句を、同時多発テロを連想することなしには読めなくなってしまったことが書いてあった。「私たちは大切なものをたくさん失くしました」という言葉に、深く共感した。
私もずっと、俵万智さんの「チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月」という歌が大好きだったのだが、拉致問題が顕在化してからは楽しめなくなった。下の句の「いっそ、どこか遠くへ私を連れ去ってちょうだいよ」という若々しくお茶目な明るさは、もう味わえない。この歌が発表された当時は、まだ拉致問題が一部でしか取り上げられていなかったことを思うと、これはこれで仕方のないことなのだろうと思う。
ことばのイメージや語感は時代とともに、変わり続ける。「言葉を大切に」なんていっても、自分ひとりではどうすることもできない。この歌は、強大な破壊力をもつ爆弾にふさわしくない愛らしい名が付けられていることへの憤りが詠われたものだろう。また、雑草扱いされるデイジーを、人々や家や町に喩えた酷さをも悲しむ歌だと思う。「ずたずたに」されたものの何と多いことだろう。
☆栗木京子歌集『夏のうしろ』(角川書店、2003年7月)
☆おしらせ
今月20日、津田塾大学で「歌と晶子と新聞記事」と題する講演をします。ご興味のある方は、どうぞいらしてください。
http://twc.tsuda.ac.jp/info/200904/20090429000000027.html
ことばを傷つけるのは人間。。。
でも、ことばに命を吹き込むのもまた人間。
人の力とことばの力を信じたいものです。
あることばを聞いただけで辛くなるようなことがない日が来ることを祈りつつ…。
「言葉の力」というものをあらためて感じました。
さて、「ことば」とえいば、徳永英明さんがリリースした同名タイトルの楽曲があります。
とても印象的な曲です。
現在GYAOからPVが見られますので、もし良かったらぜひ^^
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0086046/
本当に! ことばに傷つく、なんて言うけれど、人間がことばに傷をつけているのです。力やあたたかみを吹き込みたいですね。
KobaChanさん、
徳永英明さんの楽曲のこと、知りませんでした。
思いのこもったタイトルのように感じます。ぜひぜひ聴いてみます!!
私は一時期、「原罪」とは言葉をもった事だと信じていたことがありました。
お陰さまでハムレットの「Words,Words,Words」というセリフを久し振りに思い出させていただきました。
「ことば」っていろいろと厄介ですね。
深いです! 深いコメントです……。
私の拙い文章に「ハムレット」を思い出してくださるなんて。うーむ、ハムレットの胸中を改めて考えてみたいと思います。
「人を恋ふる歌」での晶子と鉄幹の秘話、大臣の談話など、とても興味深く読みました。
イメージと人、というのもまた一方的ですね。「時々で人は変わっていくもの」という言葉をとても温かく感じました!
SEMIMARUさん、
記事をご覧くださってありがとうございます。
与謝野大臣が4歳のときに、晶子は亡くなったのですが、おばあさまに深い思いを抱いていられることが分かりました。
お気に入りの演奏会に出かける気分です。
楽しみにしております。お体、ご自愛のほどを
うわぁ、どきどきします。
話すのは本当に苦手なので……。よろしくお願いします。
そして、たくさんのお土産をいただきました。
これらは、私にとって励み、道しるべとなります。
講演会、ありがとうございました。
講演を聞きにきてくださり、本当にありがとうございました。
「えっとー」ばかり言ってしまったり、準備していた内容を話し忘れたり、となかなか上達しませんが、「お土産」を持ち帰ってくださったとのこと、ほっとしております。
これからもよろしくお願いします。
講演会で質問なさった女性が帰りの電車の中で、松村さんのご著書『与謝野晶子』を食い入るように新宿駅までよみふけっていた姿が印象的でした。
新幹線の中で今日の講演の内容を反芻しながら帰ってまいりました。
書くことを一から出直します。
ありがとうございました。
何ということでしょう!
声をかけてくださればよかったのに!!
遠くからいらしてくださって、本当にありがとうございました。
内容についてはまだ自分でも整理できませんが、第一目的のナマ松村さんを拝見でき、想像通りの誠実さ、さわやかな暖かさなど感じ大満足で家路に着きました。
講演会に来てくださったとのこと、そしてこれまでもご愛読くださっていること、本当に嬉しいです。
昨日は楽しんでいただけたでしょうか。
どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。
質疑応答の際、「今後の執筆活動は?」と質問をしたところ
■発売日 6月25日■『31文字のなかの科学』■NTT出版
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001984
との回答でした。ワクワクするような題名です。
おもわず「買います」と大きな声で言ってしまい、司会者の失笑を先に買いました。
殆どアクセスのない私のブログで紹介したところすでに数百超。驚きました。いずれにしても楽しみな次回作です。
まあ、あのとき質問してくださったのが、ひろしさんでしたか!!
新刊を紹介してくださり、本当にありがとうございます。今度の本は「文系科学記者のトホホ取材記」って感じで楽しんで読んでいただける内容です。
http://www.yosano.gr.jp/article/090512mainichi.html
えっと思いながら一気に読みました。晶子は夫が作った「♪妻をめとらば才たけて」が大嫌いだった、などなど、またまた晶子への関心(働く女性への関心)が高まりました。
これからも「短歌と政治、科学など」の発信を楽しみにしています。
わぁ、知りませんでした。
この記事は夕刊に載り、読めるエリアも限られていたので、特にお知らせしなかったのですが、こうして読んでいただけるのは嬉しいことです(やや、無理やり政治の方へ話をもっていこうとする感じがありますが……)。
講演会のとき、『記者にチャンと書きなさいよ、と言いたくなるときがあります。』と話していたことを思い出しながらこの記事を読みました。
『与謝野晶子』を拝読して、晶子の先見性に大きな感銘を受けました。また、「晶子の言葉は、いつも私を励まし、愉快な気分にしてくれた」と書かれた松村さんにも魅かれて、このブログに辿り着きました。
前々から、仲間うちの勉強会(しんかれんHP参照)で、晶子の多面性をテーマに松村さんの講演会ができないかしらと話し合っていたのですが、すでに津田塾で開かれていたのですね。残念!
そこでお願いです。遅れてきた私たちが自分たちの手で、松村さんの講演会を開きたいのですが、正式な講師依頼は、どちらにどのようにしたらよいでしょうか?お教えください。
コメント欄にこういう書き込みはルール違反なのかもしれませんが、失礼をお許しください。
ご連絡ありがとうございます。
お教えくださったアドレスへメールをお送りしましたので、そちらへお返事くださいませ。