奇妙な瓶を集めるように語彙増えて本日の瓶チロシンキナーゼ
新聞社の科学環境部という部署にいたころ、毎日が楽しくてならなかった。私は文学部出身なので、人事異動が発表されたときは、社内で何人もの人から「科学部に行って大丈夫?」と心配された。けれども、私自身は知らない世界に足を踏み入れるのが嬉しいばかりだった。
日々知らない言葉と出合うので、中学生のように単語帳を作り、事典や辞書で調べてはそのノートに書き込んでいた。少しずつ語彙が増えることにわくわくした。理系出身の記者の多い部署だったから、何も知らないことは大きなハンディキャップだったが、科学の世界は私を魅了した。
そのころの気持ちを詠ったのが、この歌である。「チロシンキナーゼ」という言葉を聞いて、ぱっと「ああ、酵素ね」「たくさん種類があるんだよな」と思う人もいるだろうが、私は「チロシン? キナーゼ? そういえば、昔はチロっていう犬の名前が多かったけど、いまは全然いないよねえ」なんて思いながら、キャンディをなめるように、その言葉を舌の上でころがした。
「ミオシンって、かわいい感じ」「ヌクレオチドって、何度聞いても『落ち度』を思っちゃう」……知らない言葉が自分の語彙として増えるのは、奇妙な形をした瓶を集めているようなことだった。
6月末、さまざまな科学の分野を詠った短歌を紹介したエッセイ集『31文字のなかの科学』(NTT出版)が刊行される。科学記者として取材した日々の思い出も、いくつか書いた。たくさんの歌人が捉えた科学の世界を、楽しんでもらえたら嬉しい。
☆松村由利子歌集『薄荷色の朝に』(1998年、短歌研究社)
31文字の科学読んでみたいです。
学校では科学はぜんぜんだめでした。
でも最近、フェルマーの定理というの、やっと覚えました。
DNAを略すとデオキシリボ核酸というのも、覚えましたが、遺伝の理屈はわかりませんです。
『31文字のなかの科学』、シビレました。文系なのに科学にあこがれ、科学にロマンを感じていた私は、ページをめくるごとに目からウロコだったり、はたまた、ゆりこさんにめちゃくちゃ感情移入したり…!!
今まで科学に関係する本は苦手だったけれど、まるで、視界が不自由な私の手をとって山道を歩かせてくれるかのような、著者の愛を感じながら読みましたよ!これ、ほんとにおもしろかったです!!絶対大評判になることまちがいなし!!
PS 受賞もおめでとうございます!!
私も学校時代は理科系がさっぱりダメでした!
もなママさん、
さっそく読んでくださって、どうもありがとうございます。
文系科学記者のダメダメ取材記に「感情移入」していただいて、すごく嬉しいです。
冷奴さん、
ご好意はとてもとてもありがたいのですが、ダメですよ! 読む前に書評のことを考えたりなさっては。すごくつまらない本だったら、どうするんですか!!
じっくりお読みになって、面白ければ…ということで、何卒よろしくお願い申し上げます。
でも、そのとき普通にうまくいっていたら、こんなに面白い本書けなかったかもしれないと思うと、人生何が幸いするかわかりませんね!大ボケデスク氏に乾杯しなくちゃね(笑)。
わかりやすく言うと「数式に美を感じ興奮できるか、どうか」という点です。(わかりにくいかな?)
そんな事を申し上げると「いや、私は理系じゃなくて美形よ」と反論されるかも知れませんが…。
「知る」ことの、功罪の前でも。
白い地図を歩きたい。
面白がっていただけて、本当に嬉しいです。私は、人を面白がらせるのが好きなんです!
マコトニイチャンさん、
いやいやいや……(照)。ちいさいころは、ウチベン系でしたが。
junjiさん、
「白い地図を歩く」とは、何にでも素直に感動できることかな、と思って読みました。
これから、ゆっくりと読ませていただきます。
とっても楽しみです^^
ヤフーで短歌ブログを運営して居る者ですが、いろいろ歌論したついでにアフィリエイト欄にオンライン書店で見つけた貴女の著書を貼り付けておきましたのでご挨拶まで。
私はいろは歌の方が本領ですがこの一年は短歌に専念せうと励んでをります。
日常時事詠と歴史と恋の歌が六分四分でせうか。
また百人一首に応答唱和する試みも連載中ですのでお暇の折にお立ち寄りください。
若干なりとも貴女の語彙の瓶詰めの中身がふえればと思ひまして。
アフィリ貼り付けた記事のアドレスは下記です。いづれ購入致します。アクセス寥々たる私のブログで買ふ人はゐないでせうけど笑。
http://blogs.yahoo.co.jp/jungleroad91/folder/558796.html
いつも本当にありがとうございます。私はちょっと仕事に追われておりましたので、コメントが遅くなりました。
「流れの面」さん、
はじめまして。拙著をアフィリエイト欄でご紹介くださり、お礼申し上げます。
さっそくブログを拝見しました。歴史的仮名遣いと正字を大切に思う人は多いでしょうが、ブログでそれを実践している方は珍しいと思います。今後もよろしくお願いします。
どうもありがとうございます!