ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは
在原業平朝臣
見事にハマってしまった。マンガ「ちはやふる」である。
タイトルは、主人公である千早の名、そして彼女が最初に覚えた一首にちなんでいる。物語は、小学六年生の千早が競技かるたに出会ったところから始まる。かるたを通して仲良しになった男の子たちとの別れを経て、高校生になった千早は競技かるた部を作ろうと画策、そして……。
7月10日のブログで「手の不思議」について書いた際、「こんぎつね」さんがコメントに、競技かるたをテーマにした、この作品について教えてくださった。わくわくして読み始めたところ、もうなつかしさ全開で感激しっ放しだ。
公式試合のとき最初に読み上げられる空札「難波津に咲くやこの花冬ごもり今を春べと咲くやこの花」がなつかしい。足の甲が畳で擦れてタコになってしまうことがなつかしい。試合では「札の配置を覚えるよりも、前の試合の配置を忘れるほうが難しい」ということもなつかしい。
忘れていたさまざまなことを思い出す。例えば、取り札の裏に書かれた文字のこと。練習するときは同じ部屋で何組もの試合をするので、取り札がごちゃごちゃにならないように、かるた一箱ごとに札の裏には「風」「花」「月」などと筆書きされていた。自分が勢いよくはねた札がどこかへ飛んでいってしまい、「どこかに『花』の『乙女の姿しばしとどめむ』はありませんか〜〜」なんて訊ねるのは、なかなか風情のあることだった。
「ちはやふる」第5巻では高校生クイーン(女流選手の最高位)が登場して、千早はその強さに圧倒されるのだが、実は私が高校生のとき、当時かるた王国と呼ばれた山口県に、17歳という史上最年少の高校生クイーンが本当にいた。九州大会に彼女が出場した際、会場で仲間と「あっ、あの人がクイーンだよ!」とささやき合ったときの興奮をまざまざと思い出した。
というように思い出は尽きないのだが、競技かるたを全く知らない人にも、このマンガは絶対にお薦めである。スポーツとしてのかるたの面白さ、そして和歌の美しさが楽しめる。
☆末次由紀『ちはやふる』(2008年5月〜、講談社・現在第5巻まで刊行)
先日は、たろちゃんおすすめの「とめはね!」にハマりました。これは高校生の書道クラブのマンガです。こうした学園マンガを通して日本文化が見直されるのっていいですね!
そうそう! 「とめはね!」も気になっていました。
競技かるたについては、マンガならではの表現が素晴らしくて。書の世界もそうかもしれませんね。
そのマンガを読んだらかるたに目覚めるかもしれません。なにはともあれ、総理大臣がおっしゃる前からマンガは日本の文化です。
なるほどぉ。私はちばあきおの「キャプテン」で高校野球が好きになり、萩尾望都を読んでブラッドベリなどSFが好きになり……という人生です。
百人一首なんですよね。
競技かるたを作品にするとしたら、実写はむずかしいです。
マンガというのはいい表現方法です。
それにしても、昨夜NHKでやってましたが、マンガの主人公は年をとらないです。
「ゴルゴ13」が登場したもっとも古い時代は
1967年の第三次中東戦争でした。
いったい何歳になるんだろ?
ゴルゴ13は何もかも謎です。
実写「ちはやふる」が撮られるとしたら、隅っこでかるたをしているエキストラで出たいです!
落語の方では龍田川はお相撲さんの名前だそうで^^
そうなんです!
落語は落語で愉快なお話ですよねえ。「ちはやふる」を巡る、いろいろな名作を楽しめるってしあわせです!
「ちはやふる」こんなに楽しんでいただいて、感激です。映画の中で、パシッと札を飛ばしている松村さんが見えるようですね。
私は、第1巻の「自分のことでないと夢にしたらあかん」という新くんの言葉にきゅっと胸をつかまれ、全巻購入してしまいました。
あの、それから私はKonぎつねでして、点々はありませんので、どうぞよろしく、コン。
まあ、お名前のこと、たいへん失礼しました!
うっかり者でごめんなさい。
「ちはやふる」を教えていただいて本当によかったです。友人たちにも薦めたいと思っています。
「ちはやふる」、おもしろそうですね。さっそく、読んでみようと思います。
百人一首といえば、高校1年の夏休みに100首全部覚えるよう宿題が出て、結局半分の50首しか覚えられなかったことが思い出されます。
その後、今から十数年前、自分が子どもの親になり、子どもたちがポケモン数え歌に夢中になっているので、将来、何の役にも立たないポケモンの名前を覚えるのに、子どもの柔軟な記憶力を使うのはもったいないと、家族ぐるみで、百人一首を覚えさせました。
3人の子どもたちからは、百人一首を覚えてもちっとも役に立たないと恨まれています。親としては、覚えた百首を活用していない方が悪いと言いたいところですが…。
このマンガは、子どもたちも、おもしろがって読んでくれるかもしれません。
私も高1の冬休みに百人一首、覚えました!
きっと3人のお子さんたちは将来、感謝するはずですよ。ぜひぜひ「ちはやふる」を読んでみてください。
受験対策として古典部門は「伊勢物語」と「百人一首」だけで済ませたボクにとって「ちはやふる」は一番懐かしい歌です。ついでに「一枚札」なども思い出してしまいました。
古典落語としても小さい頃から親しんできた演目ですが、最近聞いたものでは(ネタバレでまずいかもしれませんが)おちが「千早の戒名」となっていて、記憶にあった「千早の本名」と違っていました。こちらが主流なのでしょうか。
私の記憶でも「千早の本名」でしたけれど??
「むすめふさほせ」という「一枚札」は、子どものころ最初に教わりましたねえ。弟は「ほととぎす」「かささぎ」などを「動物」シリーズとして覚えていましたっけ。
この「ちはやふる」という作品自体、大変ドラマチックな作品ですが、その背景に作家と編集者のドラマがあることもわかり、いっそう関心が高まりました。
これからどのような展開になるか楽しみです。
読み応えのある作品を紹介していただきありがとうございました。
読み終わった後の感想と調べたことをブログにまとめたのでトラックバックさせていただきます。
コメントとトラックバック、どうもありがとうございます。
「ちはやふる」という作品だけでなく、それを生み出したドラマには、私もいたく感じ入りました。6巻以降が楽しみですし、作者を応援したいと思います。
これからも、いい思い出ができるといいね。
みんな、みんな思い出になるね。
思い出というのは、単なる記憶というのとは違う感じがしますね。
冷奴さん、
誠にありがたい書評でした!
科学者である中村桂子さんというのがまた嬉しくて。