遠雷のしばしは鳴りてゐたれども虹を形見におきて去りたり
藤井 常世
遠くに雷鳴が聞こえていたけれども、雷が近づくこともなく、雨が上がった窓の外を見ると、大自然の形見のような虹がかかっているではないか−−なんと言うか、ゆったりとした気分の歌である。雷鳴は遠く、日常を脅かすこともなかった。虹は美しい……「ふーん、よかったね!!」と、敵意にも似た気持ちを私が抱いているのは、「遠雷」によってただならぬ被害を受けたばかりだからである。
先週、明け方に雷鳴を聞いた私は飛び起きた。近所の人から「雷は怖いよ。パソコンもプリンタも、みんなダメになっちゃったから。ゴロゴロ鳴り出したら、すぐコンセントを抜かなきゃダメ!」と聞かされていたからである。寝ぼけまなこで書斎へ行き、パソコンとその周辺すべてのコンセントを抜いて布団へ戻った。雷は二度ほど鳴ったが近づくこともなく、断続的に強い雨が降った後、雨は上がった。
その後、買い物などの用事があったため数時間留守にして、帰宅してから機器のコンセントを差し込んだ。「さぁて、メールをチェックしなくちゃ」。ところが、わがパソコンは電源ボタンを押しても、うんともすんとも言わず、ランプも点灯しない。
狐につままれたような気分でパソコンを修理に出してから、ノートパソコンにLANケーブルをつないだところ、これまたつながらない。通信業者に連絡して来てもらってわかったのは、モデムもルーターもダメになっていることであった。「ちゃんと電源を抜いたんですよ!」と悲鳴に近い声を上げた私に、業者は言った。「ああ〜、電話回線を通して電流が流れちゃうことがあるんですよ〜」
調べたところ、落雷なんかではなく、遠くで雷が鳴っただけでも周辺に大きな電圧が発生し、電話線やTVアンテナ線などを通して過電流が流れて電子機器を故障させる「雷サージ」という現象が起こり得ることが判明した。つまり、すべてのコンセントは抜いたけれど、電話回線はそのままだったため、そこからモデム→ルーター→パソコン、とケーブルを通して異常な電流が入ってしまったらしい。モジュラージャックまで引き抜かなければならなかったのだ。脱力。
パソコンにはアース線も付いているのだが、地上に雷が落ちたらアース線から電流が入ることもあるとのこと。全くもう、どうすりゃいいの!って感じである。ADSLモデムが、購入品ではなくレンタルだったのは不幸中の幸いであった。ルーターのメーカーに電話したところ、「ああ〜、保証期間内ですけど、自然災害ってことで保証の対象になるかどうか、ちょっとぉ〜〜」という対応だった。修理に出したパソコンはどうなることやら。
畳の虫もヤモリも、もうどうでもよくなってきた。あまり意識していなかったけれど、自分は都市にばかり住んできたのだなあとしみじみ思う。自然というものは、とてつもなく強大な存在なのだ。あんなにかすかな雷鳴だったのに、雷というものは恐ろしいばかりのエネルギーを持っているのだ。何か打ちのめされたような気分である。
こういうときに、脱力感たっぷりに「だからよぉ〜」と言えるようになれば、私も一人前の島の住民だが、まだそういう境地には至れないのであった。
☆藤井常世歌集『夜半楽』(角川書店、2006年8月)
はぁ〜、なんか朝から疲れてます。インターネット環境が整わないと仕事にならない、っていうことがこたえますね。大女どころか、小心翼々とした小物であります。
私もインターネット草創期で、ISDNから移った時には、ADSL8Mでさえ、早いと感じましたね。
やっぱり、どんなに世の中便利になっても(人間が怠惰になる?)、アナログを長く経験している世代だと、難なくクリアできるでしょ?(場所柄ちょい不便かもしれないけど(悲))
インターネットって、普段意識しないけど、
どれだけ自分が頼って生活しているか、本当に感謝ですね。
石垣の自然に負けずに、頑張ってください。
久々に書き込みしてしまいました。
お励まし、本当にうれしいです。がんばります。
Rommelさん、
島にも光ファイバーは来ているのですが、私の住んでいる地域が取り残されているというわけ。もっと光を!
kaorinさん、
お久しぶりです。
たった今、電器店で雷ガードのタップを買ってきたところです。そっかー、テレビでやってましたか。
冷奴さん、
いいえ! 南の島でも生活するためにはお金というものが要るので、仕事しなければいけなくて、それには電子機器類が要るのであります。
本島だけかと思ったら八重山も言うんですね〜
知らなかったです。
一番プリミティブな防護策は、雷シーズンは、電源も回線もふだんは抜いておいて、使うときだけつなぐ、というのがいいかもしれません。
だからよ〜、って如何なる場合にも使えるんですよね! このニュアンスを会得すれば、あなたもオキナワン♪
SEMIMARUさん、
よきアドバイスをありがとうございます。今夜も雷情報をチェックして、電源を抜いてきたところです。はぁ〜〜。
…って、すごい矛盾だと思うのはママだけでしょうか。。。???
ちなみに「PK」もわかりませんでしたけどね…。
あっ、カタカナが多くてすみません!
サージはsurge、押し寄せるとか、急騰、急増するという意味で、噴火の際の火砕流出、脳が損傷された際のカテコールアミンの大放出などを「サージ」という語で表したりします。ちょっと説明不足でした。ごめんなさい。
場合はNTTのサービスに電話をすれば確認してくれます。只、自宅の電話が不通の時は携帯電話で対処しなければなりません。
以上自分の経験からの報告です!