2010年07月30日

日焼け止め

DSCN0125.JPG

  サンスクリーンほの白く塗りやわらかき生き物として炎天に立つ
             久山 倫代


 新しい生活が始まり、楽しいことも多いが悩みもある。思わぬ出費はその一つである。
 引っ越しに伴う出費というのは、ある程度仕方ないと思う。カーテンだとか、芝生だとか、新しい住居に備えなければならないものは買わざるを得ない。しかし、初期に購入した除湿機2台、これは痛かった。また、雷でダメになったルーターも悔しい(パソコンは無事に修理され戻ってきた)。そして、意外な出費として挙げられるのが、日焼け止めなのである。
 生来ものぐさなので、メイクというものをほとんどしない。3年に1度、フラメンコの発表会で実の親でも見分けられないほどの舞台メイクをするのは別として、化粧品の類を使うことはめったにない。だから、その価格についても無頓着だった。
 ところが、ここ南の島に来て、新たな生活習慣となったのが日焼け止めを顔や腕に塗ることである。曇っていたり雨が降っていたりしても、油断はできない。島の天気は変わりやすい。いつ何どき、ぱーっと強い日差しが照ってくるか分からないのだ。
 紫外線対策をしないと、老後どのような結果が待っているか恐ろしい。シミができても分からないほど常時小麦色に日焼けした状態を保つ、という選択肢もないではないが、そんな勇気もない。さすがの私も日焼け止めをこまめに塗るようになったのだが、「こんなにちょっぴりで、この値段??」とがっくりする。
 歌にある「サンスクリーン(sunscreen)」はれっきとした英語である。今年一月にアメリカへ取材に行ったとき、この単語が出て来なくて焦った。あまりの日差しの強さに、案内してくれた友人に「ドラッグストアに寄って、日焼け止めを買いたいんだけど」と言おうとしたのだが、「えーと、紫外線を…防護する…乳液……」とあれこれ言葉を探していると、「サンスクリーンね!」と笑われた。
 そのあと、何かの話で彼女が「双極性感情障害」だとか「自己免疫疾患」なんていう単語を出したとき、「あっ、分かるかしら?」と気遣ってもらったが、こういう単語の方が日常語よりも頭に入っているのがカナシイところである。
 「炎天」の下、羽毛など持たず皮膚をさらして生きる人間は「やわらかき生き物」なのだ、というとらえ方が面白い。この歌の作者は、実は皮膚科医である。紫外線の怖さも皮膚の弱さも熟知しているところから得た発想なのだと思う。
 さて、今日もサンスクリーンを塗って活動を始めるとしようか。

☆久山倫代歌集『弱弯の月』(2005年11月、本阿弥書店)
posted by まつむらゆりこ at 07:40| Comment(12) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
東京はこのごろ朝5時でも明るくて、サマータイム早く導入すればいいのに、って思うくらいですけど、アメリカではdaylight savingっていうんですって。気がつかなくてあわや飛行機に乗り遅れるところだったことがありました。

全然関係ないけど「事業仕分け」って英語でいうとscreeningですって♪



・・・すみません、「サン」と「スクリーン」にだけ反応したコメでした。

芝刈りがんばってください。
Posted by Lucy at 2010年07月30日 09:48
ほんとにゆりこさんってお化粧しないよね。
しなくてもホント綺麗でうらやましい…。

でも、たしかにフラメンコのときは衝撃でした。始まって20分たってもゆりさんがどこにいるのかわからなかった私。

やっぱりふだんはお化粧しないほうがいいかも。せっかく新聞社やめたのに、テレビ局からスカウトがくるから。
Posted by もなママ at 2010年07月30日 09:53
私も普段お化粧をしないので、夏日焼け止めを塗って、草取りをすると何となく息苦しさを感じ、そのうち汗と共にタオルに吸い込まれてしまうきがします。(でも絶対にサンスクリーンは必要です)後々後悔しないように。私の若い頃は、夏海へ行った証で少々自慢でした。トホホ・・・・
Posted by コビアン at 2010年07月30日 10:20
つい億劫になりがちですが、日焼け止めだけは絶対に必要だと思います。若い頃は海へ行ってきた証で少々自慢だったのですが、後悔
あとにたたずですね。
最近めんこさんに見習って雷が鳴るとテレビやパソコンを消します。モジュラーまでは抜きませんが(多分忘れると思うので)(笑)
Posted by コビアン at 2010年07月30日 11:01
 私もこどものころからお化粧をしたことがありませんでした。山に芝刈りに行くときも日焼け止めなどしたことがありませんでしたが、先日炎天下でプレーしたときクビの後ろがジリジリと焼けるようで、あとで真っ赤なのに気付き驚きました。いくらガキのころから太陽の下で走り回っているといっても、熱帯並みの直射日光の下では対応が必要のようで、先週芝刈りに行ったときは襟を立てるなど気を使いました。日焼け止めクリームまでは使いませんでしたが。化粧でなくガードですよね。
Posted by 冷奴 at 2010年07月30日 11:03
Lucyさん、
えーっ、サマータイムのこと、そういうふうに表現するんですか。知りませんでした。何だかトクした気分です。事業仕分けも、なるほどなるほど…って思います。

もなママさん、
はいはい、パイナップルとマンゴー、食べに来てくださいね。ごちそういたしましょう。

コビアンさん、
ホント、日焼け止めって皮膚が呼吸できなくなる感じがするんですよねえ。あっ、そもそもメイクがそうなのか。雷対策は、たぶん都会では不要だと思いますよ!

冷奴さん、
おお。よく見ると「医薬部外品」と書いてある日焼け止めがありました。「日焼け止め用美容液」というのもあるし、うーむ、どちらがいいのだろう。
Posted by まつむらゆりこ at 2010年07月30日 14:14
私も住んでいたころはあまり意識しなかったけどたしかに沖縄は日差しはキツイですね〜
上記、悪戦苦闘の様子がよく伝わりますね〜
Posted by 中村ケンジ at 2010年07月31日 09:01
中村ケンジさん、
日差しはだんだん「こんなものだ」って感じになってきました。8月に入ったら、もっときつくなるかな??
Posted by まつむらゆりこ at 2010年07月31日 13:50
日焼止めですか。
私は先週日曜兄の墓に曼珠沙華植えに行って、意識ははっきりしてるんだけど、水風呂に入っても熱がさがんなくて(風呂出た直後は下がってるんだけど、十五分もたつと37.8度とかにあがってしまう)翌日会社休みました。
皆さん日焼止め塗っても熱中症にはお気ををつけて。
温度でなるときはなる。
Posted by 重方 at 2010年07月31日 18:55
重方さん、
それは危なかったですね!
熱中症は若い人もなるってホントなんだ。日焼け止めだけでなく帽子も活用しましょう。
Posted by まつむらゆりこ at 2010年08月04日 09:28
 僕は、カンボジア在住のベトナム人の高校生が、日本人の数倍くらい黒い肌だったのに、2年後に会った時は、日本人の平均よりかなり白く、驚くくらいに色白の美人になっており、同一人物には、おもえなかった経験があります。
 いまでも別人だと信じています。が、友人たちは全員本人だと言っていました。つまらない経験ですみません。カンボジアやベトナム南部は熱帯なので、やはり、日差しが強いです。
Posted by 山寺修象 at 2010年08月04日 17:59
山寺修象さん、
なるほど〜、しかし高校生の肌と○○歳の私の肌では、かなり能力差があるのでは!! ところで、私が十数年前ベトナムへ行ったのは1月でした。そんなに暑いと感じなかったのは、そのせいですね。
Posted by まつむらゆりこ at 2010年08月05日 10:02
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。