2010年08月27日

猛暑

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拭へどもしたたる汗に悩みつつ猛暑まだまだいつまで続く
         小澤知江子


 石垣島に住むようになり、自分が誤解されているらしいことに気づいた。
 1つは、「働いていない」という誤解だ。4年前に会社は辞めたが、フリーランスのライターとして働き続けている。百万長者で変わり者の大伯母が、唯一かわいがっていた私に莫大な財産を遺した……なんてことは全くなく、食べるためにせっせと原稿を書く毎日である。
 「島でのんびりなさっていることでしょう」などというお手紙をいただく度に、「いえいえ、会社は辞めましたが、仕事は辞めておりません」と訂正したくなってしまう。
 2つめの誤解は、「南の島は耐えがたいほど暑い」というものである。
 これまた残念ながらハズレなのだ。「猛暑日」というのは、一日の最高気温が35℃以上の日を指すが、石垣島の場合、33℃を超えることはめったにない。海に囲まれているので、いつも心地よい風が吹くし、緑も多い。地元の人に聞くと、「昔はだいたい最高でも32℃くらいだったさー」ということだ。
 とはいえ、実は7月初旬、ちょうど私が島にいなかった時期に、島内で3日間連続して猛暑日を記録した観測地点があった。しかし、石垣島で猛暑日がそんなに続いたのは、1956年7月の「4日連続猛暑日」以来というから、逆に驚く。実に半世紀ぶりということなのだ。島の人たちが「今年は暑い!」とぼやくのも無理はない。
 アスファルトからの照り返し、室外機からの熱風などが合わさった都心のいやな暑さを思えば、島の夏は本当に過ごしやすい。各地の猛暑を伝えるニュースを見ていると、何だか申しわけないような気がするほどだ。

 ☆歌誌「松乃華」(2008年)
 
posted by まつむらゆりこ at 00:00| Comment(14) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
皆さまからの誤解、心中お察しします。

自分が住んでいる土地と、仕事がうまくいくことを願っての社交辞令?と割り切り、聞くしかないですよね?

それにしても、今年はクラーをつけている時間が長くなっておりますぞよ!車中のクラーも回りっぱなし!

そういう意味では、石垣島のお住まいの方は羨ましいですね(微笑)
Posted by ErwinRommel at 2010年08月27日 10:24
まぁ〜きれいな海☆ 
そうなんですか、いいところなんですねぇ〜
Posted by スマイル ママ at 2010年08月27日 11:16
Rommelさん、
蒸し暑い夜、エアコンをつけてしまうことも、あるにはあります。
やっぱり暑いと眠れませんものね!

スマイル ママさん、
この海の青さだけは、見飽きることがないと思います。お見せしたいです。
Posted by まつむらゆりこ at 2010年08月27日 14:51
 俺も大金持ちのおじさんが欲しいねぇ。とはいえ、時間がゆったり流れる南の島で書く仕事が続けられるのだから、ハッピーなのではと思います。東京は9月末まで30度の猛暑が続くらしい。げんなりであります。
Posted by 冷奴 at 2010年08月27日 18:18
そう言えば沖縄であまりクーラー使わなかったな〜家の前が東シナ海でビュービュー風が吹いていたのでジーパンが30分で乾いたな〜

きっと石垣島も洗濯物、すぐ乾くでしょうね〜
Posted by 中村ケンジ at 2010年08月27日 18:42
まあ、そんな誤解を受けているんですか?

いいではありませんか、「誤解」なら。

練馬区民の身にもなってください。「練馬はついに40度」とか連日報道され、友人たちも鬼気迫る真剣さで暑中見舞いメールをくださるのです。

「アスファルトからの照り返し、室外機からの熱風などが合わさった都心のいやな暑さ」のただなかにいるママにとっては、「誤解よ〜」はぜひ一度言ってみたい高嶺の花の言葉です。

Posted by もなママ at 2010年08月28日 00:39
めんこさんの選択に間違いは無かったようですね。こちらは毎日毎日うだるような蒸し暑さです。平日の昼間一人の時はドアも窓も全開にして、ヨガマットの上にアイスノンを枕に、リビングや玄関を移動しています。(笑)足の裏が真っ黒になってしまうので、思い切って『スピン&ゴー』騙されたつもりで買ってしまいましたが、とても便利に使っています。緑の心地よい風と聞いただけで羨ましいです。
Posted by コビアン at 2010年08月28日 10:08
冷奴さん、
いやぁ、東京の暑さは特別ですね。

中村ケンジさん、
そうそう! 梅雨の時期は例外ですが、洗濯物は短時間で気持ちよく乾きます。

もなママさん、
練馬区民! なるほど、それはつらそうですね(ごめんちゃい)。来年あたりバナナとマンゴーを食べにぜひ来てくださいな。

コビアンさん、
ヨガマットとアイスノン! それはよさそうですね。風を通すのが一番ですから、エアコンに頼らないコビアンさんに乾杯♪
Posted by まつむらゆりこ at 2010年08月28日 11:10
松村さん、お久しぶりです。

このお話し、横浜に帰ってきて身に染みています。本当に内地は暑いです。熱気がこもっている感じがします。

西日本新聞の書評の件、ありがとうございました。せっかくなので私のブログでも紹介させて頂きました。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by FUKU at 2010年08月29日 09:18
FUKUさん、
横浜も暑いでしょうね!

西日本新聞の書評、本当によかったです。私のブログとのリンクもありがとうございました!
鳥のお好きな方、ぜひFUKUさんの写真集『カワセミ』をご覧ください。
Posted by まつむらゆりこ at 2010年08月29日 13:13
島は海洋性気候で、日中は海風が快適ですね。夜は陸風になるのかな?
夕方の「なぎ」のときは暑いですか?
「ジャマイカでは、夕方の陸風の吹く前の暑さは格別」というくだりが007の原作本にありますが(同作品にはよくジャマイカやバハマが出てきます、英国人は引退後カリブで島暮らしをするのが夢みたいです)

それにしても今年は暑い、アスファルトジャングルにいると一層こたえます。

Posted by SEMIMARU at 2010年08月29日 19:45
SEMIMARUさん、
島は海洋性気候ですが、「凪」の時間は一定していません。風が吹く日もあれば吹かない日も(たまにある)って感じです。
007にそういう記述があるとは!

Posted by まつむらゆりこ at 2010年08月29日 22:08
松村さん、こんにちは。

紹介されている小澤知江子さんの歌の「拭へどもしたたる汗」というフレーズは、今年の夏の実感そのものという感じです。

また、アスファルト照り返しの中、体感温度40度を超えるようなところを歩いていると、体が溶けるのではないかという気さえしてきます。

しかし、南国石垣島がめったに35度を超えることがないというのは初めて知りました。うらやましい限りです。
何かの機会にうんちくとして使わせていただきます。

Posted by 拓庵 at 2010年09月02日 05:52
拓庵さん、
「体が溶ける」というのは、内部まで暑さがしみこむ感じでしょうか。南の島の日差しは、体の表面が「焦げる」って感じです。なので、長袖などともかく直射日光を浴びないような服装をすると、何とかしのげます。
やっぱり暑さの質が違うんですね。
Posted by まつむらゆりこ at 2010年09月02日 09:03
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