
胸に庭もつ人とゆくきんぽうげきらきらひらく天文台を
佐藤 弓生
「天文台」という言葉を最初に知ったのは、小学校低学年のころである。学校で見ていた教育テレビの番組のテーマ曲に出てきて、その弾むような感じが好きだった。
♪ 山のてっぺん 天文台 天文台 ♪
冒頭のこの部分しか覚えていなくて、「えーと、動物の人形がいろいろ出てきてたから、道徳の番組だったのでは」と思っていたが、ネットには理科の番組だったという情報があった。うーむ、私の記憶では、動物たちがけんかしたり、仲直りしたり、という内容だった気がするのだが……。歌詞は「大きなドームが笑う/ドームは月の話をする/大きくなってロケットで/広い宇宙へ行く話」と続くらしい。
それはともかく、この歌によって、天文台とは山上にあるものだというイメージがインプットされてしまったので、初めて石垣島の天文台へ行ったときは、「おお、ここはまさに『山のてっぺん』ではないか」と感激した。天文台のある前勢岳は標高197mと、それほど高くないのだが、小さい山なので案外と道路のカーブがきつく、自分で運転しているのに車酔いしそうなほどだ。「石垣島のいろは坂」と呼びたい。
東京・三鷹の国立天文台は「山のてっぺん」にはないが、科学記者のはしくれだったころは取材に行くのがとても楽しかった。遥かな宇宙についてレクチャーを受けるのは(難しかったけれど)、慌ただしく過ぎてゆく日々のなかで本当に心が躍ることだった。
この歌には、何か澄明な喜びがあふれている。「胸に庭もつ人」は、sense of wonder を知っている人だと思う。「庭」は現実の庭と違って果てしがない。そして、いつも何かしら種が蒔かれ、いろいろな花が咲いたり、実がなったりしている。だから、結句の「天文台」ととても美しく響き合うのである。
天文学者に限らず、科学者にはとても謙虚な人が多い。未知の世界が広大無辺であることを知っているからだろうか。人間や地球の小ささを知ると、人はやさしくなるのかな、と思う。
(写真は石垣島天文台の105cm光学赤外線望遠鏡)
☆佐藤弓生歌集『眼鏡屋は夕ぐれのため』(2006年11月、角川出版)
そういえば、「星」といえば必ず思い出すのは昔彼が山へ行ったとき、帰ってきてから「夜中に満天の星を見ながらお前にも見せてやりたいと思ってたんだ」と言った言葉です。
あれから○十年。まだ見せてもらっていません。
このごろは諦めて、「まだ見ぬ星空」をずーっと胸に抱いているほうがいいのかな、と思っています。なにしろ見えすぎちゃってることが多すぎて(爆)。
なつかしいです。でも検索してみたら1968年ってでてきました。わたし、学校に入ったのは70年なんだけどなあ。でもたぶん、学校の教室のテレビで見ていたと思うんですよね。
さだまさしの「天文学者になればよかった」という歌もありましたね。でも、現代の天文学者は計算ばかりで星は仕事ではほとんど見ないそうですよ。
「彼」に果たしてもらうべき約束がまだ残っている、ってロマンじゃないですか!
島に遊びに来てくださったら、天文台へもご案内しますね。
morijiriさん、
この手の話題はトシがばれるんですよね。「みるちゃん、きくちゃん」とか「はたらくおじさん」とか……。
石垣島は大気の揺らぎが少ないので、「これ、ハッブルで撮ったの?!」と思うくらい鮮明な画像が得られるんです(実際に見て感激してきました〜)。
確かに石垣島天文台は小さな山の上という感じですね。
嵩田にある電波望遠鏡「VERA」石垣島観測局(さらに僻地)へはもう行かれましたか?
内部の見学は自由じゃないけど、郊外の山中にある超大型の建物のような望遠鏡。国内4箇所で直径2300kmの望遠鏡と同じ性能…って、外から見るだけでも壮大な気分になりますね。
息子が中学の時、VERAで職場体験実習をさせてもらい、それがきっかけで宇宙物理学を学びたいと言うようになったのでした。
VERAにも行ってきました!感動しました。
この感動を皆様へ…と準備中です。詳しくはまた後日♪
将来の宇宙物理学者へ、どうぞよろしくお伝えください。
東京・三鷹の国立天文台☆実はかなり近いけど、いまだに行けてないわ…
科学者も、天文学者も…ゆりこサマ
あなたも、とっても謙虚だと
思います。
ふたご座の私は、流星群を見るべく
頑張りましたが、見れなかった。
残念無念ー。
日曜は、新聞社時代大変お世話になった文化部長の告別式になってしまいました。
本当に、続々。激務ゆえの短命な方々が
多すぎて、悲し過ぎます。
せめてもの救いは
昨年、一昨年お目にかかれていたことかしらー。
あ〜、愚痴ってごめんなさいね。
年だわ〜。。。
歌全体に、眩い光と希望を感じます...。
いまは名古屋市科学館が大好きな場所。
中学生のころは仙台市天文台に通ってて、数年前、閉館記念誌に文章を書かせていただいたときは感激でした。
まつむらさんの「感動」を楽しみに待っていますね。
ふたご座流星群、残念でしたね。ペルセウス流星群に合わせて、来夏遊びにいらっしゃい!
今秋私も親しい友人を亡くし、ショックを受けました。会いたい人には、会えるとき会っておかないと、と思うばかりです。
tokoro-11さん、
この作者の歌は飛躍が心地よくて、うっとりさせられます。
totoroさん、
天文学者を目指してぜひ頑張ってください!
名古屋市科学館は、かつて息子をよく連れていったところです。プラネタリウムも、化石発掘セットが売られていた売店も、なつかしいです。
歌人も謙虚で控え目な方が多いですね〜
それに比べて俳人はちょい悪オヤジ&オバサンが多くて句会後の宴会が楽しいですよね。
「俳人」評が可笑しい!
私も、ちょい悪オバサンを目指したいです。
そうなんです、きんぽうげの「つやつや」「金色」がまた効いているのです。この歌の至福感、本当にうっとりします。
むかし見ていた子供番組の主題歌の歌詞の一部に「悲しいときは空を見る、はるか無限の新世界」というくだりがありました。
当時はなんと言うこともなく聞き流してましたが、ある程度成長してから聞いてみると心境が理解できました。
石垣島は光害もなく、満天の星が見られてうらやましく思います。
おお、その歌詞は心ひかれますね。何の番組だったのでしょう。私は坂本九さんの歌う「新八犬伝」の歌が好きでした!
冷奴さん、
電波望遠鏡は本当にすごいんですよ! 久々に天文関係の取材をして楽しかったです。