2011年01月14日

ムーチー

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  餅のかび百合の根などのはつかなる黄色もたのし大寒の日々
                        佐藤佐太郎


 1月11日は「ムーチー」の日だった。旧暦の12月8日である。
「ムーチー」は沖縄で「餅」のこと。といっても本土の餅と違い、もち粉を練って蒸し、月桃の葉で包んだものをそう呼ぶ。正確には「鬼餅=ウニムーチー」という。五月の節句に食べるちまきに、ちょっと似ている。この餅で鬼退治、厄払いするという言い伝えがあり、健康を祈願する行事とされる。
 これはもともと沖縄本島の行事だったが、次第に八重山でもムーチーが作られるようになったらしい。写真は、ご近所さんの手作りのムーチーである。昔はシンプルな白か、黒糖を混ぜた茶色しかなかったが、最近はけっこうカラフルなのだという。紫色のムーチーは紅イモフレークを使うからとか。私は月桃の葉の香りが好きで、ぱくぱく食べてしまう。
 この歌の「餅」は、本土のふつうの餅を指すのだろう。「餅のかび」というのが実になつかしい。今の市販の餅は真空パックになっているけれど、子どものころの餅はすぐにかびが生えるのが常で、年が明けてしばらくすると、母は瓶に水を張って水餅にしていた。それでも怪しげな黄色や青、黒のかびが生えてきて、食べるときはその部分をこそげ取って、焼いたり煮たりしたものだ。あの「黄色」は確かに「はつかなる」色だったなあと思う。
 もうすぐ「大寒」である。沖縄でも最も気温が低くなる時期で、ムーチーの日前後の寒さを「鬼餅寒(ムーチービーサ)」と呼ぶ。千葉から引っ越してくるとき、「もう暖房器具は要らないね」と、灯油ストーブやこたつは処分した。しかし、「もしかしたら…」と持ってきた遠赤外線ヒーターが、こんなに役立つとは! 島の若い設計士さんが「1年のうち、10日くらいはこたつが欲しい日がありますよ」と言っていたのは本当だった。

☆佐藤佐太郎歌集『冬木』(1966年8月、短歌研究社)



posted by まつむらゆりこ at 10:15| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この時期のムーチーは月桃の葉ですね。いい香りです。

祭りのときのムーチーとなると、与那国ではクバの葉を、八重山では芭蕉(バナナ)の葉を使いますよね。石垣ではカサの葉というとバナナの葉のことを言うし。

どうしてかな。バナナの葉より月桃の葉の方が集めるのは簡単だし、食べる時も剥がしやすいのに。

月桃といえば、家族が旅行に行く時、うちではおにぎりをよく月桃の葉にくるんで持たせます。防腐効果があるし、いい香りが付くので。
Posted by みのだりつこ at 2011年01月14日 10:51
 東京はこのところ連日、この冬一番の冷え込み。寒いよう。卒業の日が近く、ありがたいことに送別会の日を空けておいてという申し出がひんぱんにあるのだが、無性にそういうのから逃げ出したくなるのは何故?最近の心境をいんちき31文字にすると「管理せず管理もされず原稿をただ書くだけの良き暮らしかな」
Posted by 冷奴 at 2011年01月14日 12:02
みのだりつこさん、
おお、ムーチーのTPOに応じて葉っぱが変わるのですね。知りませんでした。
月桃の葉にくるんだおにぎり、美味しそうです!

冷奴さん、
東京の寒さ、想像しただけで震え上がりそうです。ご卒業も近いとのこと、万感こもごもです。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年01月14日 12:15
 最近「管理せず管理もされず原稿をただ書くだけの良き暮らしかな」というのを多用しております。いまのセクションに来るときは、松村さんの「櫂ひとつ渡され舟を漕ぐ夢に目指すべき島探しあぐねて」というのを使わせてもらっていたのですが……。
Posted by 冷奴 at 2011年01月14日 12:16
2ヶ月に一度は上京しているのね。
近くはいつ頃かしら?お目にかかれたら。
長女の大学受験がこれから始まるので、
大きく動けず、都内をうごうごしているので
スケ合わせられます。
草クンと一緒に会ってもいいし。

3月以降は、ぜひ石垣行きたいです!
Posted by つよこ at 2011年01月14日 12:24
こんばんは。
「1年のうち、10日くらいコタツ・・・」ですか^^
やはり、暖かいところなのですね。
確かに暖房器具が使われるイメージが持てませんが、
今は寒いのですね。
「ウニムーチー」を食べて、
風邪などひかぬようご自愛くださいませ。
Posted by KobaChan at 2011年01月14日 21:19
ムーチービーサ…なつかしいひびきのコトバです!思わず涙が出そうになりました。
ちなみに我が家は白&茶の餅でした。紫はちょっと高級感がありますね。
Posted by 中村ケンジ        at 2011年01月14日 21:33
冷奴さん、
私の拙い短歌を引用してくださり、恐縮です(汗)!

つよこさん、
ぜひぜひ石垣島へ!

KobaChanさん、
地元の人は結構寒がりです。「ついに灯油のストーブを買っちゃった」という方も。

中村ケンジさん、
「ムーチービーサ」を実感しております。私は茶色い素朴なムーチーが食べてみたいです(自分で作れ、って??)。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年01月14日 21:47
月桃の葉、名前から想像してもさわやかな香りが漂ってきそうです。
仙台に住んだ時、一年に一週間位冷房が必要でした。(笑)
東京近辺で講演があるときは日記に載せてください。
Posted by コビアン at 2011年01月15日 16:46
コビアンさん、
本当にさわやかな香りなんです。ああ、分けて差し上げたい〜。
今年の講演は今のところ、10月@鹿児島しか入っておりませんので、ご安心ください(笑)。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年01月15日 23:38
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