2011年04月01日

おはなし

0401Huckleberry.jpg

  待ちながら暮れてゆく店お話の中ならそろそろ子狐も来る
                  奥山 恵


 先週ブログに書いた活動で集まった絵本は、無事に宮城県、福島県の避難所へ送られたそうだ。「被災地文庫」として読まれた後は、公立図書館づくりに役立ててもらえるという。とてもうれしい。
 おとなにとっても、本を開いてその世界に入り込むのは楽しい時間だが、子どもにとって、本や「お話」は心の栄養になるものだ。怖い思い、悲しい思いをしただけに、いっそう大切な糧になると思う。
 この歌は、昨秋、千葉県柏市に児童書専門店を開いた私の友人の作品である。長年、定時制高校の教師として働き、やっと念願かなって店をオープンした彼女だが、お客さんを待っているうちに日が暮れてしまうときもあるのだろう。
 人間のお客さんが来ないのは、本当は困った事態なのだが、この店長さんはふと「こんな日は、子狐が来るんじゃないかしらん」と半ば期待しているようなのが可笑しい。ちょっと変わった子が来たら、差し出されたお札には気をつけないと、葉っぱかもしれない……。
 彼女のお店の名は、「ハックルベリーブックス」(http://www.huckleberrybooks.jp/)。JR柏駅から歩いて10分ほどのところにある。オープン間もない頃に訪れたけれど、とても心地よい空間だった。また行きたいな、被災地に送りたい本がたくさんあるだろうな、と思う。

☆「かりん」2011年3月号
posted by まつむらゆりこ at 10:30| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オープン後、間もなく行きました。木の温かい感じのかわいいお店でした。
Posted by morijiri at 2011年04月01日 13:01
morijiriさん、
よいお店ですよね!
私も今度また行きたいと思っています。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年04月01日 14:31
絵本…役に立つといいですね。

「短歌」今月号の特集記事、読みました。
【自分だけの感動を深める】って大事なことですよね。
「卵」の話も印象的でした。
Posted by 中村ケンジ at 2011年04月01日 16:09
 ここは、やっぱり子狐なんでしょうかねぇ。狸体型の小生としては子狸ではちがうのかと思ってしまったりして……。
Posted by 冷奴 at 2011年04月01日 16:27
宅配が復旧したので、私も福島の姪と甥に色々な物の中に児童書を一冊入れて送りました。岡田淳=作『ふしぎな木の実の料理法』です。
思えば、大人になってからの私自身も、やりきれない時間を過ごす時に、本に、特に児童書に支えてもらったのでした。
ですから、きっと、絵本は子ども達のためだけでなく、被災された大人の方達をも支えてくれることだと思います。
Posted by よいかおり=牧師の妻 at 2011年04月01日 19:40
中村ケンジさん、
「短歌」の原稿、お読みくださってありがとうございます。言いたいことがうまく伝えられたかどうか、案じておりましたので、嬉しさも一入です。

冷奴さん、
あっ、子狸もかわいいですね!
この歌では、新美南吉の「てぶくろをかいに」が下敷きになっているから子狐なのかしらと思いました。

よいかおりさん、
岡田淳! きっと喜ばれたことでしょう。
このタイトルだけでも、わくわくしますね。今度、私も図書館で借りてみたいと思います。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年04月02日 07:21
ハックルベリー書店、我が家から近いので、息子と彼女、彼女のお母さん、ヨガの友人等など紹介した人達は皆ふくろうのふうちゃんフアンになっています。また近いうちにいかなくちゃ(汗)私より息子達の方が行ってるようです。
Posted by コビアン at 2011年04月02日 09:57
「ハックルベリーブックス」なら、夕暮れ時に子狐が現れるかもしれませんね。

その時は、あの店にいた「ふくろう」が、夜の店主としてしゃべり出したりして・・・。

Posted by 拓庵 at 2011年04月05日 06:09
ブログ休まれていたから、心配でした。こちらにはいらしたのかな?予定通り。あまりの悲しい出来事に、自分のお店計画もストップしてしまいました。しばらくは、また書くお仕事に徹するかと。何かあったらいつでもお声かけくださいませ。
Posted by つよこ at 2011年04月05日 11:44
 葛原妙子賞受賞とのこと、まことにおめでとうございます。新聞記事は残酷ですね。40代のころの作品集なのに、年齢が(50)とありました。四捨五入すれば「百」ではないですか。もらえるものは全部もらってしまおう。いま浪江町が東電のお金を拒否といっております。
Posted by 冷奴 at 2011年04月05日 12:18
コビアンさん、
「ハックルベリーブックス」をごひいきにしてくださり、嬉しい限りです!今後もどうぞよろしくお願いします。

拓庵さん、
おお、あのふくろう君の名はフリッツ、通称ふーちゃんです。「夜の店主」としてしゃべり出すお話を考えてみるのは楽しいですね。

つよこさん、
心配してくださって、どうもありがとうございます。大震災にはいろいろ考えさせられました。お互い、人の役に立つ仕事を目指しましょう!

冷奴さん、
年齢は本当のことなのですから、別に何とも思いません。賞の名にも年齢にも恥ずかしくない作品を作ってゆけるよう頑張るのみです。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年04月05日 22:16
葛原妙子賞受賞おめでとうございます。『大女伝説』で受賞されたんですね。うれしいです。

私はずっと短歌の世界のことは知らずにいましたが、一昨年同級生が亡くなった時、せめて今日一日彼女のことを思っていたいと考えていると、いつの間にか短歌を詠もうとしていて・・。

それから、短歌の世界に惹かれていき葛原妙子の一つの歌に出会って心がふるえるような感じを受けました。そしてその後、『大女伝説』を拝見して、松村さんのファンになりました。

好きな歌人の好きな歌集が、好きな歌人(葛原妙子)の賞を受賞したので、本当に!うれしいです。
Posted by よいかおり=牧師の妻 at 2011年04月06日 14:20
よいかおりさん、
受賞を一緒に喜んでくださり、本当にありがとうございます。
短歌に惹かれるようになったきっかけが、お友達との別れだったとはさぞおつらかったことでしょう。
葛原妙子は私にとって、憧れというか高峰のような特別な存在です。これからますます勉強を重ねなければ、と思っています。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年04月06日 21:58
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