2011年05月06日

夜のお客さま

0506frog.jpg

  毒をもつオオヒキガエル島に増えあめりかーのようにしぶとし

 夏本番も近い感じの石垣島である。気温が高くなり、日差しも強くなってきた。そして、昆虫諸君の登場に伴い、それを食糧とするヤモリ、カエルの諸君も元気に姿を見せるようになった……。
 以前、近所の女性陣とおしゃべりしていて、「あたし、ここの冬って意外に好きだなあ」「あ、私も」「そうそう!」と盛り上がったことがある。なぜ冬がよいのか。それは「虫が少ない」「湿度が低い」からなのだ。夏は、虫とそれを食べる小動物の季節であった。
 そういうわけで、わが家にも毎晩お客さまが来る。大きなカエルである。家の灯りに呼び寄せられる虫を狙って、窓の近くに陣取るというわけだ。まあ、普通のカエルならよいのだが、中には毒をもつ外来種のカエルもいて困ってしまう。
 オオヒキガエルは中南米原産だ。実はサトウキビの害虫駆除のため南大東島へ持ち込まれたものが、いつの間にか石垣島へ入り込んだのだという。襲われると背中から毒液を出すので危ない。このカエルを食べた犬が死ぬこともあるという。環境省によって「特定外来生物」に指定されており、見つけたら放置せず「処分」しなければならない。
 先日、昼間にこのカエルと遭遇したが、相棒も私も「処分」する度胸がない。市役所に電話して、捕獲しに来てもらった。職員の方は、内心「しょうがないなぁ」と思ったのであろう、にこにこしながら「次からはよろしくお願いしますね〜」と言っていた。
 人間の都合で太平洋を越えて連れてこられたカエルも気の毒だな、と思う。ともあれ、夜のお客さまに関しては、何も見なかったことにしている私たちである。

 ☆松村由利子歌集『大女伝説』(短歌研究社、2010年5月)
posted by まつむらゆりこ at 00:00| Comment(14) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと遅れの更新ですね。
毒は使いようによっては薬とも言いますが、つオオヒキガエルは薬にはならないのでしょうか。なんの血どめ当たりそう。
関東ではガマの薬としてクシー録の四六の爪(要は関東では普通なんだが)のガマの油を塗るとあら不思議を「一枚が二枚二枚が四枚(以下」略)二千五十六枚にきわにける大刀の
なんて口上をおもいだしますね。
私が聞いたのは西郷下と國参道。
ところで、ヤモリさんそろそろ復活?
Posted by 重方 at 2011年05月07日 17:03
重方さん、
いやぁ、もろもろの締め切りに追われて、はっと気づくと土曜日でした……。ブログを楽しみにしてくださっていること、何よりの励みであります。ありがとうございます。
ヤモリさんたちは元気に繁殖し続けています!
Posted by まつむらゆりこ at 2011年05月07日 18:06
いつも記事更新、ごくろうさまです。

4句目「あめりかー」が印象的でドキッとしました。声に出して読む時に沖縄なまりのイントネーションだと超うれしいです。
Posted by 中村ケンジ at 2011年05月07日 20:58
フェルディー、カエルこわいの!?

っていうか、どのくらいの大きさなんですか?確かに相当大きそうに見えますが…(汗)

ちなみに私はアマガエルを見ただけで100メートル全力疾走で逃げます。この写真見るだけでも相当な勇気がいります。撮影した(?)ゆりこさん、ほんとにえらいです。大の大人が、と言われる危険を冒しても助けを呼んだフェルディーの気持ち、よくわかります。それとも、自分で手を下さずに目を細めて「殺れ」ってひとこと言っただけなんでしょうか。
Posted by Lucy at 2011年05月09日 00:29
中村ケンジさん、
いやぁ、先週忙しくて更新のことをきれいさっぱり忘れて土曜日を迎えてしまいました!
「あめりかー」に反応してくださり、嬉しいです。

Lucyさん、
地元の人はスコップなどで撲殺するというのですが、すごく大きいんですよ。このカエルさんは生きたまま連れて行かれましたが、その行方は杳として知れないのでした……。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年05月09日 09:49
ということはガマの油も取らずに捕殺されてしまったのか。なんか写真で見るとハブ並の退治をしなくてもよいような。
偽善的なCMがはやる中で素直に共感したCM
http://www.youtube.comwatch?v=GyyKBMuOcgM
Posted by 重方 at 2011年05月10日 22:35
先日糖尿病の画期的な薬が毒ガエルからつくられると何かで見ました。
石垣島の毒ガエルも何かの役に立てられるとよいですね。
Posted by コビアン at 2011年05月12日 07:37
重方さん、
うーん、毒の危険性よりは生態系を壊すという観点からでは…。

コビアンさん、
調べたらありました!すごいです。同じ南米産だし、石垣島にいるカエルも何かに役立つことが分かれば面白いですね。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年05月12日 08:30
毒ガエルは嫌いな人も多いですけど殺せない人も多いですよね。私は心を鬼にして、というかハエやゴキブリと同じと思って殺します。害獣なので。毎年環境省がオオヒキガエル捕獲大作戦やってます。生け捕りでいいんですけど。
http://kyushu.env.go.jp/naha/pre_2010/0917a.html 
イリオモテヤマネコもカエルを食べるそうですから困ったもんです。やっぱりオオヒキガエルの居場所はこの島にはないでしょうね。
Posted by みのだりつこ at 2011年05月12日 17:50
みのだりつこさん、
そう、害獣なんですよね。ここはちゃんと島の人間として対処しなければいけませんでした!(反省……)それにしても、イリオモテヤマネコが食べちゃうなんて。
Posted by まつむらゆりこ at 2011年05月12日 20:54
本日、白石良夫「かなづかひ入門」で檢索して青磁社のサイトの讀後感を拜見いたしました。


手前もその頃書いたものがありますが、どこにも發表できないままにうちすぎました。ローマ字論からする議論、讀んでいただければありがたく存じます。


pdf ファイルで御高覽に供したく一筆差し上げる次第です


草々頓首
Posted by 上西俊雄 at 2012年05月03日 21:03
二度目ではないかと思ふのですが、白石良夫著『假名遣入門』で檢索してこちらに逢着致したしました。


當時書いてゐたものを眞道重明さんのサイトの言葉の詮索(その4)

http://home.att.ne.jp/grape/shindo/kotoba9.htm#Ktoba9.htm

で公開してもらったところです。御一讀いただければありがたく一筆御案内申し上げます。
Posted by kmns at 2012年05月12日 10:05
上西俊雄様

しばらくブログを休止しているものですから、お返事が遅くなり大変失礼いたしました。
かなづかいに関してお書きになったもの、拝読しました。ご紹介くださり、どうもありがとうございました。
戦後の国語政策については、まだまだ勉強しなければ、と思うばかりです。
ご教示いただき、深く感謝申し上げます。
取り急ぎお礼まで。
Posted by まつむらゆりこ at 2012年05月12日 10:29
四月二十八日は主權囘復の日といふけれど國語について考へるなら主權囘復はいまだし。それは國語の傳統に昭和二十一年といふ時點でくさびが打込まれて明治大正昭和が國語辭典と古語辭典とのあいだに打捨てられてきてゐることによってあきらかなのですが、これが必ずしもGHQのせいではなかったといふ點で事態は複雜。ローマ字に合せて假名字母を制限するのでなく、五十音圖を前提としてローマ字を構想すべきでありました。


定年後擴張ヘボン式なる翻字式ローマ字を提唱して十年、震災後に朝河貫一博士に先驅例があったことを知り、昨年はその五十年前にアーネスト・サトウの論文があったことを知りました。國語について沈僭して考へれば同じ結論にならざるを得ないわけですが、サトウ論文は博引旁證、國語を考へるに際して逸すべからざるものだと信じるものです。


サトウ論文を讀んでからメルマガ「頂門の一針」に四囘長いものを寄稿。24.11.17, 25.1.14, 1.30, 2.16 御參照いただけますればさいはひです。

Posted by kmns at 2013年05月26日 15:48
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