稽古場の壁は花咲く賑やかさ赤や黄色のファルダ掛けられ
「ファルダ」はスペイン語でスカートのこと。フラメンコのレッスンが行われるスタジオには、壁に色とりどりのスカートが掛かっていて、見ているだけで楽しくなる。
そもそも、フラメンコを始めるまであまりスカートを穿くことがなかった。仕事のときはパンツスーツが多かった。駆け出し記者のころは、ジーンズ一辺倒だった。写真を撮ったり車を運転したりするときに動きやすいというのが一番の理由だが、意地のようにスカートを穿かなかった時期もある。
内勤記者だった20代前半のころ、スカートもジーンズも同じように愛用していた。まだ鉛の活字を使っていた職場だったからインキで服が汚れることもあり、ジーンズで仕事をする方が多かった。ある時、上司から「おまえ、きょう生理やろ」と言われ、仰天した。その日、私はスカートを穿いていた。「セクシュアル・ハラスメント」という言葉もまだない80年代の話である。自分がどんな顔をしたか分からないが、何も言えなかったのは覚えている。
以来、その職場にスカートを穿いていくことは一度もなかった。憎むべき人物の代わりに、女であることの象徴のようなひらひらのスカートを憎んだ。悔しかった。
フラメンコを始めて、何が嬉しかったかというと、ひだのたくさん付いた長いスカートを穿けることである。踊ると裾が揺れるのが嬉しい。裾を手で持ち上げたり、素早く左右にさばいたりするのが嬉しい。もう何もかもが楽しい。
あんなに小さなひと言にずっと呪縛されていたことを思うと、レイプや深刻なセクハラを受けて傷ついた女性たちが、どれほど自分が女であることを呪っただろうかと胸が締めつけられる。悪いのはスカートではない。
☆松村由利子歌集『鳥女』
「稽古場」とは「Sanctuary」??…
などと勝手にいろいろ想像したりして…
そして、子供の頃…好きな女子のスカートをめくることでしか表現出来なかった“もどかしい”幼稚は、相手にとれば確実にハラスメントであったと、いまさらながら心痛みます。
これからも頑張ってくださいね。
スカートめくりとセクハラは別だと思いますけど。あれは小さいころの遊びだもの。
私は人気がなかったので、あまりめくられなかったなぁ……