2006年08月25日

働く

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  口角を上げよ背筋をぴしと張れ働く女は日輪の花

 すべての女は働いている。賃金を得ていないとしても、洗濯したり料理したり、子どもの世話をしたり……と、誰もが日々、さまざまな仕事をしているに違いない。
 ――というのは、しかし、言いわけである。実は、この歌を作ったときには、自分を鼓舞したいような気持ちだったので、「働く女=会社で働く女」というイメージを抱いていた。こうでも詠わないと立っていられず、へなへなとくずおれそうな状況だった。仕事に誇りを持ち、いつも姿勢よく足早に歩くよう、自分に呼びかけたかった。
 あるとき、困ったような笑いを浮かべた歌の仲間から「働く女は日輪の花、とか言われてもねぇ……」と言われて、はっとした。彼女は多分、この歌に「私は頑張っている!」という鼻持ちならないにおいを嗅ぎとったのだ。高校教諭としてずっと働き続けている人である。家庭も持っているから、仕事との両立は決してたやすいことではないだろう。けれども彼女は、自分だけが「働く女」の代表のように気負っている私の歌には違和感を抱いたのだ。恥ずかしかった。
 とはいえ、自分の歌だから愛着がある。この歌が当時の私を慰め、励ましてくれたことは確かなのだ。対象を20代のサラリーウーマンに限定した応援歌、そういうことで何とか許してもらえないだろうか、なんて思う。

☆松村由利子歌集『薄荷色の朝に』(短歌研究社、1998年12月出版)
posted by まつむらゆりこ at 09:03| Comment(6) | TrackBack(1) | 働く女たちへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そうねえ、肩パットかちかちのお洋服で目を吊り上げてキーキー言っているイメージがあるなぁ。もちょっとふわっとね。とはいえ、若い美女がつくるものは何でも許されるときもありってか。
Posted by 冷奴 at 2006年08月25日 12:34
あ〜、「若い美女」ならOK、なんですねね。
改めて反省です(涙)。

明日から札幌で「かりん」の全国大会。
馬場あき子にまた叱られてきます。
Posted by まつむらゆりこ at 2006年08月25日 16:15
貴ブログ拝見しました。早速お気に入りに登録しました。これから楽しみに読ませていただきます。「かりん」の9月号、作品鑑賞、ありがとうございました。励みになります。いろいろと短歌のこと、この頁を通して勉強する機会が増えて、うれしい!
Posted by 舟本惠美 at 2006年09月03日 10:04
舟本さん! 早速見てくださって、本当にありがとうございます。
このところ、原稿の締め切りに追われて更新が滞っておりました。
コメントを励みに、私も頑張ります。
Posted by まつむらゆりこ at 2006年09月04日 17:18
この歌に救われた女性は多いはず!
そうでもしないと、自分がくずれそうになる時ってありますよね。
 今、私にはこの歌が自分にとっての応援歌です。   あはは・・・。

           かおりより
Posted by kaorin at 2006年09月09日 21:27
かおりさん、コメントすごく嬉しかったです。「応援歌」として受けとってもらえるのが一番だなあ、と思っています。

これからもよろしくね!
Posted by まつむらゆりこ at 2006年09月10日 09:58
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日輪
Excerpt: お恥ずかしい話ですが、日輪と書いてひまわりと読むのを、私は知りませんでした。ひまわりは向日葵としか。 だから松村由利子さんの 口角を上げよ背筋をぴしと張れ働く女は日輪の花 という歌に接したとき「..
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Tracked: 2007-03-06 06:12
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