踊るといふ身体(からだ)のよろこび知らずして世を去らむこと時どき思ふ 花山多佳子
この歌を読んだとき、「ああ、これは数年前の私だ」と思った。人が美しく楽しげに踊る様子を見て、寂しくなる気持ちはよく分かる。踊りというものは、少し手が伸ばせば届きそうなのだが、縁のない者にとってはやっぱり遠い世界に思われて尻込みしてしまう。
フラメンコを始めたのは3年前。かっこいいなあとは思っていたが、ある晩飲んでいたお店で、今の先生と出会わなければ始めるには至らなかったかもしれない。第一印象は、何だかめちゃめちゃ元気で(よく飲む)チャーミングな人、であった。お店の人がこっそり「あの人、フラメンコの先生なんだよ」と教えてくれたとき、私の中で何かがぴぴっと動いた。
勇気を出して話しかけてみた。「あのー、四十過ぎてフラメンコ始めるなんて無理でしょうか?」。先生はにこにこと(ビールを飲みながら)「始めるのに遅すぎるなんてことありません! 踊りは細く、長く!」と答えた。
あのとき、先生と出会わなければ習い始める機会がつかめず、この歌を読んでも「あー、そうだよねえ。私も踊る喜びを知らないまま死んでゆくのよね」と悲しくなってしまったに違いない。
初めてのレッスンのときの嬉しい気持ちは、今も忘れられない。踊るということが自分の日常に入ってきた喜び、それは本当に信じられない感激だった。最近、この喜びを忘れていたかもしれない。それも11月27日の発表会が近づいてきたからだ。まだ間違える。まだ体がよろける。
さあ、あと1カ月。喜びを感じつつ、精一杯楽しんで踊りたいと思う。
☆花山多佳子歌集『木香薔薇』(砂子屋書房、2006年7月出版)
娘のバレエの発表会ではステージママ気分満喫(つまり汗だくで走り回っている)ですが、今回はドレスアップして悠然と客席に座らせていただきます☆
めんこファン一同、揃い踏みで行くからね!
もう遠い昔のことのようです。
踊る喜び。これを知ることができた私は、
本当に幸せ者だと思います。まさにAlegrias!
人前で踊る喜び、ってのもひとしおですよ!
病み付きになります。
さあて11月。いよいよですね。
ここからは平常心でまいりましょう。焦るだけ無駄(笑)。