子の食べる一匙ごとのうれしさに茶碗蒸しにはこびとが棲むよ
小守 有里
食の細い子どもがいる。その中には、一度にたくさん食べられないたちの子もいるし、食べるよりも遊ぶことが大好きで、落ち着いて食べない子もいる。
私の弟は後者のタイプだった。6歳下なので、幼児期の弟の姿をよく覚えているのだが、ともかく動き回る子どもで、じっと食卓についていない。2歳か3歳だったころの彼は、ごはんどきにはいつも幼児用の椅子にふろしきでくくりつけられていたものだ。
この歌では、幼い子どもがいつになくぱくぱく茶碗蒸しを食べるのが嬉しくって、母親である作者の心が弾んでいる。「おお! おいしいねえ! ほーら、この中にいるこびとさんもすごいすごいって言ってるよぉ」なんて話しかけている様子が目に浮かび、にこにこしてしまう。
途中まで状況説明をしていて、下の句では母親の台詞に変わっているのだが、そのねじれは全く気にならない。前半では作者が状況を客観的に把握しているのに、後半は眼前の子どもとの二人の世界にぐーんと入り込んでしまうのが、この歌の魅力といえるだろう。
子どもがごはんを食べないときの母親というのは、かなり悲しいらしい。離乳期を迎えたころの私は、パン粥は喜んで食べるくせに、お米の粥はあまり好きでなく、スプーンで口に入れられても「べーっ」と吐き出していたそうだ。母は「この子が将来もお米を食べなかったらどうしよう」と悲観していたという。
後年その話を聞いたときは、「そんなこと、あるはずないでしょ!」と大笑いしたが、初めての子どもを育てる母親というものは、そんなにも思いつめてしまうのだ。さんざん親不孝してきた私の、最初の親不孝がそんな早期に始まっていたことを、ただただ申しわけなく思う。
☆小守有里歌集『こいびと』(2001年、雁書館)
私も食が細いというか、好き嫌いが激しいというか…気分の乗らない日には、呵られようが宥められようが、ぐずって全くダメダメな子供だったらしいが、何故か茶碗蒸しは、流し込むようにペロリと食べたそうだ。
母は嬉しそうな顔をしていたのか?呆れ顔だったのか?そんな大切な事を憶えていないことに、今とても後悔しています(笑)
この歌の子どもも、男の子かも♪
ぱくぱくいってくれる日は確かにテンションあがりますね↑↑
思わず話しかける言葉も多くなって、それこそこびとさんも、ぞうさんも、プーさんも、フルキャストで登場させたくなります。
茶碗蒸しなんて手の込んだ料理が無駄にならなくて、きっとそんな嬉しさもあったのかしら?と想像をしてしまいます。
まだ見るからにまずそうなペーストを食べさせているところなので、早く茶碗蒸しなんぞ食べさせてみたいものです。
現役ハハの発言はリアルで、思わず「うんうん、フルキャストか!」と感心してしまいました。
うちの息子は、よく食べる(むしろ食べすぎる)子だったので、苦労しなかったのです。
離乳期にぱくぱく食べたスイカが原因で、真っ赤なうんちが出たときには、あせりました!!
子育てしていると、悩みもそれぞれですね。