
パイナップルのおいしい季節である。
柑橘類や葡萄など好きな果物はいろいろあったが、こちらへ移り住み、「もしかすると、一番好きな果物はパイナップルかもしれない」と思うようになった。それくらい島のパイナップルは瑞々しく、甘みと酸味、香りのバランスが素晴らしい。
自分で買うことは、ほとんどない。ご近所さんや友人からもらうことが多いからだ。時には食べきれないほどもらうので、あちこち配ったり、カットした状態で冷凍したりする。完熟したパイナップルは、芯までおいしく食べられ、太陽の恵みがぎゅぎゅっと詰まった感じがする。
昔はおっかなびっくり包丁を入れていたが、今ではざくざくと大胆にさばけるようになった。七、八年前に「ざっくりとパイナップルを割くときに赤子生まれて来ぬかと恐る」という歌を作ったのだが、いま見ると「は?」という感じである。何でまた、そんな大げさな…と、以前の自分が滑稽に思われる。
環境によって生活が変わり、自分が変わり、歌が変わる。だから、こつこつと歌を作り続けることが大事なのだろう。その時々で、心動かされるもの、興味を抱くものは違う。いま、言葉にしておかなければ、とどめておけない感動があるのだ。
恋人は日盛りに意気揚々とパイナップルを携えて来る
「恋人」はどんな場合にも、いつかは必ずそうでなくなる。別れてしまうこともあれば、毎日顔を合わせる関係になることもある。
日常を分かち合うようになると、常に「意気揚々と」とは行かなくなるのが普通だろう。けれども、ちょっぴり贅沢な存在だったパイナップルが、日々の渇きを潤す果実になったように、自分も「恋人」以降の役割を楽しく、濃やかに果たさなければいけないな、と思う。
*松村由利子歌集『鳥女』(本阿弥書店、2005年11月刊行)
きっとシロップの味の方が強くて、
本来のパイナップルの美味しさではないのかもしれませんね。
缶詰のパイナップルのおいしさもあると思いますが、生のおいしさを是非味わっていただきたいです!
「恋人は〜」以降のエッセイ、味わい深いですね。
「自分も「恋人」以降の役割を楽しく、濃やかに果たさなければいけない」
私も恋人以降になってから久しいですが、思わず深く肯かされました。
今夜、(このブログが)どうなっているか見てみたら、再開されていましたのでビックリ&うれしかったです!
その間、私も「ケンジ市民ネットワーク」というブログを開始しまして、毎日更新中です。
※先週の「朝井さとる」さんは、同じ「塔」ですので、歌会で一緒です。
何だか突然、個人的な感懐を書いてしまって、ヘンだったかなあ、と思っていたので、コメントをとても嬉しく読みました。
中村ケンジさん、
ご無沙汰しました!細々とでも続けてゆきたいと考えておりますので、改めてよろしくお願いします。「ケンジ市民ネットワーク」見てみますね。
最初の歌は、いかにも都会人らしくて、
次の一首は、なんとも南国っぽい歌ですね。
それにしても、たまに、失恋をして、
この世の終わりみたいな顔している若いひとに、
「恋愛は一生続くもんじゃないよ、
運命の赤い糸は、何本もあるから大丈夫!」
そんなふうに云っても、
なかなか理解してもらえませんですね 笑。
年齢を重ねて初めて分かることもありますね!
そして、1人の人をとことん知ろうとする楽しさ、難しさの何と奥深いことでしょう。
恋だけでなく、時間をかけて関係性を深める佳き歌も、紹介してゆきたいです。
ずーっとクリックしては空しい思いをしていました(勝手ですが)。それがうっかりしていて本日再開を発見!!
パイナップルには思い出があります。4昔前?姑となるひとのおいなりさんを弁当に連れとなるひとと伊良湖へ。帰りのお土産に買ったのがパイナップルでした。完熟で電車の中では恥ずかしいくらい香りましたっけ!!遠い一日を思い出しました。有り難うございます。
お身体に気をつけて細く長く。ガンバ
どうもありがとうございます。のんびりと綴ってゆきたいと思っています。
伊良湖でパイナップルを買われた思い出、よいですね! 完熟した果物の甘い香りは格別ですもの。人との関係もそうありたいです♪