忽然と電話の主はあさましく黒い感情を保護者とぞ呼ぶ
棚木 恒寿
愛することは、執することである。子どもへの愛情も例外ではない。
親というのはまことに愚かなもので、子どもがほんの赤ん坊の頃でさえ、よその子よりも賢そうに見えたり、運動能力に優れているように思えたりする。私も生後3カ月健診のために息子を病院に連れて行ったとき、月齢の大きな赤ちゃんたちが丸々と太って、何とも憎らしそうに見えたことを覚えている。「おー、うちの子が一番かわいい」と思ったが、何のことはない。子どもが6カ月になれば、そのときが一番かわいく思えるし、1歳になればまた同じように思うのだ。逆に言えば、そういう心理が働かないと子育てはつらいかもしれない。
この歌の作者は、数学教諭として高校に勤めている。夜遅く自宅に電話がかかってきたのだろうか。電話してきたのは、生徒の親であった。何事かを必死に訴える内容に、若い作者は「黒い感情」を感じてしまう。たぶん、生徒の親が、自分の子どものことを中心にとらえ、他の生徒や教師など眼中にないような話し方をしたのだろう。
「親ごころ」は尊いものだと考えられている。しかし、それはどうかすると「うちの子さえよければ」という狭い考えに陥る危険性に満ちたものである。年をとると、そんな悲しい愚かしさこそ人間らしさであるようにも思えるのだが、この作者は若くてまだ自分の子どももいないようだ。感情的に語る人そのものを「黒い感情」だと断じたのは、潔癖さであろう。
短歌に限らないだろうが、そのとき、その年齢でなければ作れない作品というものがある。20代の恋と30代の恋は違う。30代の子育てと40代の子育てもずいぶん違うだろう。若い教師の歌は、多くの親たちをどきっとさせる。
☆棚木恒寿歌集『天の腕』(2006年12月、ながらみ書房)
プライベートに戻った時の、先生方の本音なのでしょうね。確かにドキっとしますね。もう少し考えると、この歌の電話の主の言い分も聞いてみたいですね。時々、親の側にも、「なんでそうなるの?」と不可解な理由であれこれ騒ぐ人もいるので・・・。でまあ、そういう親御さんをみると、先生でなくても「黒い感情」と思ってみたくなるときもあります。
でもやっぱり、自分の子は一番大事ですね。その思いを、出来るだけ正しく表現して行きたいですね。理想論で、とても難しいことですが・・・。
母のときは先生が敵。
先生のときはPTAが敵。
でも、ほめられたときは、どっちの場合も相手が天使♪(笑)
いつも「白い感情」でいたいなあ☆
ちなみに車運転してるときは自転車のおばさんが敵。
自転車乗ってるときは、車が敵。
これは「白く」なることはない…(苦笑)
で、40代の恋は?…白黒つきそう?(笑)
そうなんです、「自分の子は一番大事」というのが基本で、ちっとも構わないと思うのです。ただ、よその子もかわいく思える人間になりたいね、ということをみんなで考えたいです。
もなママさん、
やー、「自転車のおばさん」が自分か他人かというのは笑えるなー。この発想、なんか使えそうです。
Lucyさん、
40代の恋は白黒つけちゃいけないの。
そこが面白いんじゃない♪……かな?