さらさらとしたさみしさよ曼珠沙華とミント育てる変な人きみは
梅内 美華子
ちょっと変わったところのある彼を、作者はこよなく愛しく思う。けれども、その「変な」ところが自分との距離であって、「さらさらとしたさみしさ」も感じてしまうのだ。曼珠沙華とミントという取り合わせの「変」さが、「きみ」への愛情や「きみ」との距離感を際立たせている。
しかし、すごく違った植物をいろいろ育てているから「変な人」ではないのだと思う。男というもの、それ自体が女にとっては「変な人」なのだ。
とても穏やかに過ごしている休日、何ということのない小さなきっかけで、男が怒り出すことがある。それがどうしてか女にはわからない。「何で、急に???」といぶかしく思うし、「こんな些細なことで、こんなに怒るなんて、もう私のこと嫌いなのだろうか」と悲しくもなる。何というか、回路が違う、というのが一番近いような気がする。
謝るのもヘンだ。だって悪いことをしていないのだから。でも相手は怒っている。う〜ん、私だって悲しくなっちゃったのだし……。
ペパーミントもスペアミントも、ミント類はとてもたくましい。ほったらかしにしていても、驚くほどよく育つ。女もミントにならないといけないんじゃないか、と思う。時々の乾燥にも耐え、さわやかな香を放つのだ。少しくらいの諍いはさらりと受け流して。「変な人きみは」と、心の中でつぶやいて。
結句の字余りは、端正な歌を得意とするこの作者には珍しい。ちょっと言い放ったような、この結句は、もしかしたら彼女が私と同じような経験をしたときに作ったのかもしれない。
☆梅内美華子歌集『夏羽』(短歌研究社、2006年12月出版)
そういえばですね、私は、「何ということのない小さなきっかけ」で、急に怒り出すことがあるような気がします。 相方に悲しい思いをさせないように、気をつけたいと思います。
第一歌集の『薄荷色の朝に』の題名には、そういう思いがこめられていたのでしょうか?
(薄荷色=ミント・グリーン)
「白木蓮の卵」の中の一首
風の変わる予感満つれば薄荷色のTシャツ一枚ベランダに干す
(松村由利子第一歌集『薄荷色の朝に』)
は、物干しで風にはためくTシャツというイメージを歌った短歌と読んでいましたが、もっともっと深い意味があったのかなと、今日の記事の最後の1行を読んで考えてしまいました。
ミントにそこまでの意味がこめられていたとしたら、短歌を読み解くのは、なかなか難しい作業ですね。
上句は旦那さんとのキョリを表わしているわけでしょうか。
「さみしさ」に「さらさらとした」という形容も清新で、いきなり驚かせてくれます。
しかし、梅内さんにはちょっと悪いんですけど、蔓珠沙華を育ててるって、やっぱり、変。
複数の植物を育てていて、二つをピックアップした、と考えるとやや自然に思えてきますが、蔓珠沙華はなぁ。
旦那さんは無類の植物好きなんでしょうか。
だとすれば、(たとえばヘビメタとクラシックが好き、とか、囲碁とパチンコと短歌が好き、でも変だとは思うんですが)園芸というのが、いかにも短詩型的でな気がします。
梅内さんには、さわやかな相聞歌が多いんですが、変わった味わいのある夫婦の相聞歌ですね。
う〜ん、まだまだ語りたいんですが、うまくまとまりません。
とりあえず、ここまで。
お恥ずかしい限りです。
誰でも、そういうことはありますよね。
欠点も弱いところもあるんですもの。
拓庵さん、
いえいえ、薄荷色のTシャツの歌は、そんな深読みをしてくださらなくて結構です。
読んでくださった通りの印象、というか、ああいう気分を詠っただけの歌です。
もなママさん、
そうよね!
きっと私も「ヘンな人きみは」と思われているに違いないと思います。
まあ、お互い様ということでしょうか。
森さん、
おお、「死の象徴」「生の象徴」とは素晴らしい読みですね。気づきませんでした。
丁寧に読み込んでくださって、とてもありがたいと思いました。
「園芸というのが短詩型的」というあたりも鋭いです!!
男と女 大人と子供 あなたとわたし
回路が違うから、恋がうまれ愛がそだち
憎しみもまた広がるのでしょうか?
お利口になんか解りあいたくない!
たいくつですもの。。。
「回路が違うから、恋がうまれ愛が育ち」って詩の一節みたいです!
そうですね、違いを楽しまなくちゃね。
もしかして、胸の内に育てていると読んでもかまわないのかな?とも思った一首でした。
いつも姉さん女房みたいだなーと女性側の自我の強さを感じつつ、恋が歳月を経て愛や情になってゆくまでのドラマの存在も感じられて、味のあるいい相聞だと思いました。
花と葉が相まみえることがないから、曼珠沙華が寂しい花、というとらえ方は、とっても新鮮でした!
批評でなくって、ご自身の思い出や感想を自由に書いてくださるのが一番うれしいです♪
きょんふぁさん、
「胸の内に育てているミント」っていうのがいいですねえ(しみじみ)。
健全な精神を持つおのこから見て、まんじゅしゃげとミントを育ててる男なんて、どうみても変です。 そういう男はかなり屈折してますね。 でも多分、そこを乗り越えたところにまた、深みがあるんでしょうね。
僕も実は「薄荷」を読めるようになったのは、つい最近なんですよ。 恥ずかしながら、娘が聞いてたキンキ・キッズの「薄荷キャンディー」で初めて知りました。 でも松村さんはそのずっと前からこのエメラルドのような言葉を見つけてたんですね。さすがです。
ついでに一言、最近馬場あき子よりも、きょんふぁさんのファンになりつつあります。いつもながら切れ味鋭いコメント、僕には眩しすぎです。
「曼珠沙華」は虚構かもしれませんね。
もしかすると、本当は朝顔とミントかもしれないけれど、作者はいろいろ考えて、こういう形にした可能性ありです。
俵万智さんがその昔、鶏のからあげをほめられて「サラダ記念日」の歌をつくったように。
ここに、このようなことを書くのはコメント欄の趣旨に反するのかもしれませんが、このブログの読者には、福岡市近郊にお住まいの方もいるのかも知れないので、念のため。
以下、西南学院大学のホームページから転載です。
5/21歌人で元新聞記者松村由利子さんVSアヴァンティー清澄由美子さん「女性が働く」ということ【一般公開・入場無料】
■日時:5月21日(月)16:20〜17:50
■場所:西南学院大学2号館203教室
■講師
松村由利子さん 歌人・元新聞記者
(83年文学部卒)
清澄由美子さん アヴァンティ取締役副社長
(82年文学部卒)
■対象:西南学院大学学生、教職員
※一般市民も聴講可、入場無料
■主催:西南学院大学 法学部
■問い合わせ先
田村元彦(法学部教員)
E-mail:mtamura@seinan-gu.ac.jp
詳しくは、こちらを参照下さい
http://www.seinan-gu.ac.jp/newscommon/view-news-detail.php?id=346
あでるはのトピックスで知り、その後色々と検索して、いくつかの短歌を拝読しました。
同性として共感できるものばかりで、考えさせられることが沢山ありました。
実は私も、松村さんの掲載号の次の月のあでるはに載せていただいたのですが、大変光栄に思い、また自分の未熟さも実感しました。
これからも素敵な短歌を読ませてください。
家族で松村さんの短歌を読んで楽しんでいます。
身近な日常詠に親しみを感じています。
また『物語のはじまり』を読んで短歌を自分の手元にまで引き寄せて読む味わい方が大いに参考になりました。
ここではそうした短歌の味わい方を楽しく学ばせていただきたいと思っておりますので宜しくお願いいたします。
誰かと一緒に暮らすというのは、自分の「変な」部分に気づかされることでもあって、それってありがたいことなんですよね!
紺野百合子さん、
あっ、もしかして俳句の紺野さんではありませんか?
どうぞよろしくお願いします!
私は幕張本郷に住んでいるんですよ〜〜。
松本隆さん、
ご家族で楽しんでくださっているなんて、とてもとても嬉しいです。
こちらこそよろしくお願いします♪
今日通りましたよ(笑)
正確には、海浜幕張から幕張本郷までバスで移動して総武線に乗ったのですが、私も花見川区に在住です☆
お住まいが近くということで親近感が沸いてしまいます♪
私は松村さんの「夫婦箸・・・」の句が大好きです。
時々、遊びに来させてください☆
よろしくお願いします。
今日通りましたよ(笑)
正確には、海浜幕張から幕張本郷までバスで移動して総武線に乗ったのですが、私も花見川区に在住です☆
お住まいが近くということで親近感が沸いてしまいます♪
私は松村さんの「夫婦箸・・・」の句が大好きです。
時々、遊びに来させてください☆
よろしくお願いします。
よかったら今度コメントを書き込んでくださるときは、メールアドレスの欄に記入してくださいますか?
絶対すごくご近所だと思うので、いつかお会いしたいです!
入力しても非公開ですか?(疎くてすみません・・・)
こちらこそお会いできたら嬉しく思います☆
こちらこそ、お会いできたら大変嬉しく思います☆