子の友が三人並びてをばさんと呼ぶからをばさんであるらし
可笑し 河野 裕子
ちょっと前の歌だな、と感じる人も多いだろう。なぜか。子どもが友達の母親を自然に「をばさん」と呼んでいるからだ。私も子ども時代、近所の人や友人のお母さんを「○○さんのおばちゃん」と呼んでいた。しかし、今の子どもは、そう呼ばなくなってしまった。それが何となく寂しい。
弟の子どもにとって、私は「伯母」であり、「おばさん」と呼ばれて何ら不都合はないのだが、小学4年生の彼女は私を「ユリコチャン」と呼ぶ。「おばさんでいいんだよ。ゆりこおばちゃんって呼んでよ」といっても、頑としてきかない。どうも、口にしてはいけない悪い言葉だと思っているふしがある。
いつだったか、彼女の友達とそのお母さんに会う機会があった。「今日こそ、おばさんと呼ぶに違いない」とわくわくする私だったが、姪っ子はすまして言った。「あのね、この人、いとこのお母さん!」
友人の子どもたちも決して私を「おばさん」とは呼ばない。「マツムラサン」か「ユリチャン」である。私が「おばさん」と呼ばれるのは、駅頭や路上でうっかりコワイお兄さんとぶつかって罵声を浴びせられるときだけなのか、と思うと気が滅入る。親しみや愛情をこめた「おばさん」はもう絶滅してしまったのだろうか。
この歌が収められている歌集の出版は1984年。作者が30代半ばを過ぎたころの歌と思われる。多少は「をばさん」と呼ばれることに抵抗感があったかもしれないが、三人並んだ子どもたちが、口をそろえて呼ぶ様子に可笑しくなってしまった光景が楽しい。
沖縄の「おばぁ」は、高齢の女性なら必ず呼ばれる呼称ではない、と聞いたことがある。本来は尊敬の念をこめた呼び名であり、誰にでも使われるものではないらしい。ああ、誰か親愛の情をこめて私を「おばちゃん!」と呼んでくれないだろうか。
☆河野裕子歌集『はやりを』(1984年、短歌新聞社)
*お知らせ
「短歌」(角川書店)12月号に、新作8首「葡萄を夢に」が載りました。
よろしかったら、書店で見かけた折にでも読んでみてくださいね。
松村さんは、姪っ子さんから「おばさん」って呼ばれずに「ユリコチャン」って呼ばれるのですね。
それはある意味、とても素晴らしいことではないでしょうか?
私の姪っ子や、近所の子供たちからは、
遠慮なしに「おじちゃん」、「おばちゃん」と呼ばれますねぇ。
当たり前のように。
松村さんに対しては、親愛の情を充分に持っているつもりですが、
それでもやはり、私は松村さんを「おばちゃん」とは呼べません。
うーん、「おねえちゃん」と呼んでもいいですか?
失礼しました <m(__)m>
いやいや、私も「おばちゃん」と呼んでほしいのは、「小さい子に」という意味ですので、無理にそう呼んでいただかなくても、あはは……。
私と同い年なのに!!(笑)
「松村さんのオバチャン」でいいのにねえ。やっぱり40過ぎて「おねえさん」は無理があるよ、呼ばれる方もつらいぞ。
私も娘には「ふうちゃん」と呼ばれ姪っ子たちは「ふうねえちゃん」が「ふうちゃん」と呼びます。
うちの子は今年二十歳でその従弟たちは三十歳をとっくに越しているのに、一度も「おばさん」と呼ばれたことがありませんね。
「短歌」いいきっかけでしたので昨日一年購読契約をしました。田舎だと書店には2〜4日遅れで、それもあったりなかったり(笑)直接送られてくると交通事故の心配もありません(^^
新作8首。楽しみに待っていることにします。
「ふうちゃん」という呼び名、かわいくていいですね!
「短歌」はたったの8首なのに、読んでいただけるなんて嬉しいです。
「こどもに」ですよ〜〜、決まってるじゃないですか、もぉ。
大人の男性が親戚関係にない大人の女性を「おばさん」と呼ぶのは、原則的にはマナー違反だと思います。あっ、でも昔、「○○」という、魚とお酒のおいしいお店では、常連さんが皆おかみさんを「○○のおばちゃん」と呼んでいて、とってもあたたかい雰囲気でした!
「○○ちゃん(それぞれの娘の名)ママ」
と呼ばれています。
妹の子供たち(小学生)からも「○○ちゃんママ」と呼ばれています。
ママ友同士も普通に「○○ちゃんママ」と呼び合っています。親しくなると名前で呼び合う事もありますが。
親愛の情をこめた「おばちゃん」て私もいいなぁと思います。
最近は、名前で呼ばれる事もめっきりなくなりました・・・。
「短歌」12月号、昨日読みましたよ!
書店で買ってきたので、またゆっくりと読んでみます。
そうそう! 「○○ちゃんママ」っていう呼び名がありました(なつかし〜〜)。
そうか、やはり言葉はどんどん変わるんですね。
河野裕子さんの何気ない日常詠も、貴重な記録ということになるなぁ、としみじみするのでした。
○○ちゃんママという限定された呼び方の裏には、日ごろの付き合いのない人には声をかけるな、ということがあるかもしれません。短歌拝見しましたよ。また、楽しみにしております。
えぇ〜っ、「愛ちゃんパパ」って自らおっしゃったんですか?! M新聞には載っていなかったな、それは。
「てっちゃんママ」の時代は、私の黄金期でした。なつかし〜〜。