
し残せる事の幾つか思ひつつ湯舟にて聞く除夜の鐘の音
神作 光一
激動の2010年が終わる。万感こもごもの歳晩である。
今年の私のトピックスは、
@沖縄・石垣島に引っ越した
A9月からツイッターを始めた
B第三歌集『大女伝説』を上梓した
――の3つだろうか。
「し残せる事」は本当にたくさんあって、自分が怠け者であることを反省するばかりなのだが、それは来年の目標ができたということでもある。今年の自分よりも、少しでも進歩できるように努力を重ねようと思う。
番外編のトピックスとしては、西日本新聞の書評委員になったことだろうか。これは本当に楽しい仕事で、それを理由にいつも以上に新刊をたくさん買ってしまった。
私のお薦めは……
・科学 近藤宣昭『冬眠の謎を解く』(岩波新書)
柘植あづみ『妊娠を考える』(NTT出版)
・メディア論 佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』(ディスカバー携書)
・小説 池上永一『テンペスト』(角川文庫・全4巻)
・哲学・思想 高橋哲哉『殉教と殉国と信仰と』(白澤社)
・ノンフィクション 関千枝子『広島第二県女二年西組』(ちくま文庫)
斎藤友佳理『ユカリューシャ』(文春文庫)
新刊をわさわさ読んだ割には文庫が多いが、人にも本にも出会うタイミングというものがある。
今年は親しい人やかつての同僚が若くして亡くなり、死というものを改めて考えた年でもあった。「いつか〜〜しよう」と先延ばしにするのはやめようと思う。会いたい人には会いに行き、やりたいことには挑戦したい。人生において「し残せる事」は少ない方がいい。
☆神作光一歌集『冴え返る日』(2001年、短歌新聞社)