南から風が吹くとき八重山に夏が来るなり祝祭のごと
いよいよ石垣島での生活が始まった。
ダイビングをするために初めて訪れてから二十回近くは来ているので、町並みや景色にもなじみが出来たし、それほど驚く事はないと思っていた。しかし、それはとんでもない思い違いだった。
南の島、というと、まず暑さのことが頭に浮かぶ。「私は寒いのはダメだけど、暑いのは平気! ずーっと千葉でエアコンなしの生活もしてたしね」と思っていた。ところが! 空調の効いたホテルと、ふつうの家では、だいぶ環境が異なる。ふつうの家は湿度が恐ろしく高いのである。晴れている日はそれほどではないが、昨日のように一日中雨だと、空気はどんどん重くなる。そして、そのへんに出しておいた封筒やコピー用紙が、しなしなと湿気を含んでやわらかくなってゆく。ボールペンで強く書くと、破れるのではないかと思うほどだ。
そして、まだ整理できずに本棚に突っ込んである、たくさんの本のページ、特にソフトカバーの本が、見るからに波打っているのが分かる。がーん。このほど出版したばかりの第三歌集も、仮フランス装なので、くんにゃりとなりかけているではないか。早く誰かにあげてしまわなければ……。
島豆腐にわれはなりたし渾然とチャンプルーになるまでの快
海神の遊びごころの放埓さ南の魚の紋様無限
島ひとつ産みたし小さき川流れ海へと注ぐ湾ひとつあれ
旅と生活というのは、全く別のことなんだなあと思う。ここに挙げた歌は、今度の歌集に収めたものだが、旅行者としての歌でしかない。これから何年も住み続けるうちに、心のありようも少しずつ変わってゆくだろう。自分の歌がどんなふうに変わるか、とても楽しみだ。島に来る前に三冊目の歌集を出せたことが嬉しい。
☆松村由利子歌集『大女伝説』(短歌研究社、2625円)
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「短歌研究」で三十首の連作八回連載の中からほぼ四年間の作品をまとめたのがこの第三歌集『大女伝説』だとあとがきにはありました。
第一歌集、第二歌集とは異なった新しい松村由利子さんの大きな作風がこの第三歌集『大女伝説』のように思います。
「遠き鯨影」で第四十五回短歌研究賞を受賞なさった作品を読んだときの驚きを今でも覚えています。壮大で悠々たる歌、時事性に富み、知的なひねりと機知にとんだ歌いっぷりは今まで誰もが詠まなかったスケールの大きさでした。と語りだしたらとまらないほどの作品も含む第三歌集『大女伝説』。掲載歌にもあるように島の歌もあり、また年輪を経て玄冬へと向かう行く末を見つめる歌など読むごたえのある歌集でした。
毒をもつオオヒキガエル島に増えあめりかーのようにしぶとし
は「遠き鯨影」にも見られるような時事性を帯びた知的ひねりが効いていて面白く読みました。旅人でなく住人としての島の歌も期待しています。
そして石垣島での新生活も!
今回の歌集もすばらしいです。
賞をとられたときから、『大女伝説』というタイトルが魅力的だと思っていました。
私の好きな歌もたくさん入っていて嬉しいです。今何度も読み返しているところです。
にんじんシリシリー・・・超なつかしいな〜
学校給食でも人気メニューだったな〜
あんな美味しい食べ物が何で本土にないのか不思議です。
私の今度の歌集も沖縄詠たっぷり掲載しますよ〜
そのような新しい体験を積み重ねつつ、
由利子さんは南の島の人になってゆくのですね。
あらためて、どうぞお幸せに^^
新しい歌集
買い求めよう^^
面映ゆくなるほどお褒めいただき、恐縮するばかりです。最初から完成された独自の文体をもっている歌人も少なくありませんが、私はまだまだ勉強、修行不足なので、少しずつでも変わっていきたいと思います。
冷奴さん、
本日、除湿器を2台買ってきました!
さっそくスイッチを入れると、「現在湿度」のところに「80」%という数字が表示されました。が〜〜ん。
もなママさん、
タイトルを気に入ってくださったと知り、とても嬉しいです。ちょっぴりへんてこなタイトルですが、いろいろ考えた末に選びました。
中村ケンジさん、
給食にも「にんじんシリシリー」が出るんですね! いやぁ、いいなあ。味はもちろん、この語感もすごく好きなんです。
KobaChanさん、
今日、市役所へ行って転入届を出し、正真正銘の石垣市民になりました。道を歩きながら、何だか風景が今までと違って見えるような気がしました。
旅と生活のギャップとは、おもろい話題(歌)ですね!
私も外国人として日本国外と関わるのが、限界であると思うことは、自分がやっぱり日本人である証だと思う。
ついでに、自分の出自が神戸であることに、この年になって誇りを持ち出したところだ。
由利子さんも、ゆっくり、まったり石垣人になれるように、草葉の陰から(笑)祈っていますよ!
新しい歌集買い求めよう!!
言葉をはじめ、食べ物、習慣いろいろ違いが出てくると思います。おしえてください。楽しみにしています。
うーん、石垣人になるには、百歳くらいになるまで住まないとダメかもしれませんね。生まれ故郷の福岡よりも長く千葉に住んだことに、改めて驚きます。
コビアンさん、
どうもありがとうございます!
島ライフで特筆すべきこと−−湿気の次には、虫がすごいです。ゴキブリなんてもうどうでもいいです(まだ見たことないんですが)。本や家を荒らす白アリが一番コワイ〜。
「いちゃりばちょ〜で〜」という言葉が地元にはあるので一カ月もすればりっぱな石垣んちゅですよ〜
「いちゃりばちょーでー」、つまり「出会えば兄弟」というのは、私が最も愛する沖縄の言葉です! あったかい人が多い!
石垣んちゅになれるよう、がんばります。
私も昨年末に引越しをしましたが、
それは同じ町内の引越し。
石垣島には驚きました。
何をしてもスケールの大きい方ですね。
歌集もネットで註文してみます。
同じ町内の引っ越しっていいですね!
買い物する場所もあまり変わらないでしょうし、地理もわかっているし。
しかし、私自身はスケールが大きいというより、無謀なのかも……。
新しい地の、新しい生活で、新しい歌が生れ出てくるのを、楽しみに待っています。
羨ましいな〜
湿気は美人の必須条件!
乾燥にはお気を付けください。
新歌集、早速注文いたします。
身に余るお褒めの言葉に恐縮しております。
湿気は確かに肌にはいいんですよねえ、紫外線さえなければ……。
歌集のこと、本当にありがとうございます。
第三歌集読ませていただきました。
日に三度兆すかなしみ闇いくつ呑みて鯨となるわたくしか
母は所詮さみしき運河ファーブルの息子も昆虫学者なりけり
どの歌も今の私に響くものがあり
数首ですが私のブログに紹介させていただきました。
こちらこそご無沙汰しました。
ブログにたくさん歌を引用してくださって、本当にありがとうございます。
どの歌も愛着のあるもので、嬉しくてなりません。
この度は第三歌集出版、そして順序が逆ですが短歌研究賞受賞、本当におめでとうございました。
『大女伝説』拝読いたしまして、何と申しますか、もう・・・
一首一首の深さ重さ鮮やかさが魂に沁みるようで、「大好きだーっ!」と叫びながら床を転がり回りたいほど素晴らしいです。
特に深く突き刺さる歌に出会うごとに友人にメールで送りたくなる指を押し留めながら読みきりました。
今更なのですが、本当に、好きです。(告白)
松村さんも松村さんの作品も、生き方も、大好きなんです。他に言葉が見つからないのです。
ちょっと興奮おさまらないのでまたあらためさせてくださいませ。
石垣島へ、愛をこめて。
そんなにまで褒めていただいて恥ずかしくなりましたが、愛を告白されてめちゃめちゃ嬉しいです。
どうぞ島へ遊びにいらしてくださいね。
石垣島より愛をこめて。
このたびは第三歌集出版、短歌研究賞受賞おめでとうございます。
コメントさせていただくのは初めてですが
ブログはいつも拝見させていただいています。私も短歌が大好きで松村さんがこうしてブログから短歌の魅力を発信されているお姿を自分の目標とさせていただいています。
子育てのうた、スペイン(わたしもスペインが大好きです)のうたなど、
本当に心揺さぶられるものばかりで
加えて、
一首一首の受け止め方など
勉強させていただいています。
石垣島に引越しをされたとのこと。
旅人から住人になって
どんな石垣島の歌が詠まれるのかもまたとても楽しみです。
私も天草という小さな島出身です。
なんだかうれしくてついにコメントさせていただきました。
はじめまして。いつも読んでくださっているとのこと、とても嬉しいです。
天草のご出身なんですね! 生まれ育ったのが島、というのは羨ましいです。これからもどうぞよろしくお願いします。
「こどもの時間どこかに落ちていませんか〜〜」
たゆたう時の流れの中で、私もおぼれそうです。
これからも歌い続けてくださいね。
ありがとうございました。
その歌は、「好き」と言ってくださる方の多い一首です。この歌を含め歌集を楽しんでいただけたとしたら、本当に嬉しいです。
なんかまぶしいような思いでいつも遠くから拝見。石垣にいかれたんだと思っていたら、きょうのサンケイのコラムでまたまた
新しい生活には新しいパートナーがいらしたと知り、ますますうらやましく輝いてみえました。
さまざまな受賞も、そのたびに新聞で拝見。毎日新聞でのコラムを拝見していたときから、なんか違うなあと思っておりましたが、すばらしい仕事と生活送っていらしゃることに大、大拍手です。
メールをお送りしたくて、書きました。
これがどのように届くのか、ちょっと不安ですが、とりあえず、ちょっとチャレンジ精神で書きました。